人狼GAME

佐原 零

第1話 Lier/リアン

 この世界は、人生は、面白くない。楽しくないって言う人は沢山いるだろう。最近では、AIがほとんどの仕事をしている。この世界で稼いでいるのは、AIのエンジニアと実業家、それに、政治家ぐらいだろう。レジ打ちや画家をはじめとするアーティスト、多くの人々が職を失った。そう、AIに奪われたのだ。


 誰のための社会なんだろうか?

 誰のための経済なんだろうか?

 誰のための人間なんだろうか?

 誰のための世界ものなんだろうか?


 この世界の人は、なんとなく生きている。産まれたから生きている。死ぬのが怖いから生きている。確かに、仕事に人生の大半を充てていた人からしたら嬉しいだろう。だって、もう働かなくてもよいのだから。


 でも、わたしが求めているのは、そのような人間ではなくて、AIエンジニアでも、実業家でも、政治家でもなくて。そんな世界概念を壊そうとする人間だ。間違いなく、この世界はAIに支配されている。自分のタイムスケジュールから、自分の戸籍まで、全てAIに管理されている。

 さぁ!集え!真の人間よ!英雄よ!

 我ら人間はこの世界からAIを除外しなければならない!


 場所:仮想都市 アンバー 東の第23区の館

 開催日:6月9日 12:00


 AIを駆逐したいのならばここに集うことだな

 差出人:ヴラカス



 街中で見かけたポスターをずっと自分は眺めていた。自分は、このポスターの内容に共感していた。


「ふっ、面白そうだな。ヴラカス。あんたはどっち側だ?」

「オーダー12《トゥエルブ》」


 腕につけているAI端末のコマンドを声で入力する。

「あと二日か」



 数十年前に、奴、『コハク=アルメール』は、20ハタチという歳で世にAIというものを送り出した。

 当初は、レベルも低くなんの期待もされていなかった。だが、彼は、残りの人生をAI研究に捧げた。気が付けばAIの知能は大人の知能を軽く超えていた。少なくとも100年掛かると言われていたAIの大幅な知能上昇を、50年でやってみせた。

 世間は歓喜した。生活がより良いものになるなら、誰もが歓喜するだろう。だが、AIがこの世を。AIは徹底的に人々の言動を注視していた。AIのいる公安局に狙われたら、絶対に逃げられない。AIに反対すれば、地獄が待っている。ならば、今のつまらない生活を送った方がいいと人々は考えた。人々の思考は、どうしたら生活が楽しくなるかを考えた。

 その答えは、仮想都市の建設だ。仮想都市は、中央の第0区から東の第23区の東西南北の計24区画出できている。もちろんだが、ここでも、AIの批判はタブーだ。こういった仮想空間やSNSはAIや公安が監視しているからだ。生きにくい世界だ。


「ただいまー」

「おかえりー」

「なぁー、オモロいもの見つけてきたでー」

「ん?」

「また、しょうもないもんやろ」


 話しかけた相手達が各々反応する。携帯端末から一応撮っておいたポスターをみんなに見せる。


「へぇ〜、確かに面白そうだね。」

「こんなの罠に決まってるやろ。」

「そう思うやろ?AIが自分達で決めた法を犯すことはまず無い。そういうプログラムだ。」

「そのプログラムが書き換えられていたら?どうする?」

「プログラムの変更は、アルメールにしか出来ない。基本的なAIの構造はどれも一緒。だけど、そのプログラムついては、誰もアルメールから伝授されていない。我々ができるのは、AIになにか機能を付け加えることくらいだ。それに、お前もこの世界が嫌だろう?」

「……分かった。確かに、AIが蔓延はびこったこの世界は嫌いだ。」

「シュンが賛成した。決まりだね。リンもいいよね?」

「もちのろんだよ!」


 自分とリンとシュンと仮面の四人でLier/リアンだ。諸事情で仮面は今はいない。

 Lier《リアン》は、全員が年齢的には高校生だ。けど、行っていない。理由は単純。面白くないからだ。その代わりに、ちょくちょくゲームとかの大会に参加し、程よく賞金だけ得てその資金で生活するという暮らしをしている。そして、たまにヤンチャする。


「楽しみだね〜。計画を練らなくちゃ!」


 ここまでノリノリのリンは見た事ない。

 確かに、ワクワク割する。でもその気持ちも分かる。もしかしたらこの世界を変えることが出来るかもしれない。そう、僕達が

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