第11話 白い恋人
こうして、俺の人生は変わった。
とまぁ、そういうわけなんだ。
文句なら聞かないぞ、いまさらだからな。
今も俺は、学校行きがてらストリートで曲芸。
お客の中には、いつもシロネコさんがいます。
控えめで、でも、やっぱり美人さんだ。
シロネコさんとウミネコは、
あとで聞いた話、恋愛でもなんでもなかったらしい。
俺のただの勘違いだった。
それ知ったときは、がっくりきた。
俺、何やってんだよと。
ただ、シロネコさんの語るウミネコは、
ちゃんと聞けば、尊敬に値する男だったし、
俺も、正直に、ウミネコに会ったことをシロネコさんに話した。
怒られるかなと思ったけれど、
「なるほど、私も、忘れられない女性がいるとトビウオに言われたら」
シロネコさんは一人納得して、
「そうしたら、同じことをするでしょう」
だから、不問です。と、シロネコさんは笑う。
俺は、たくさんの奇跡をつかまえて、
今ここにこうして、最高の恋人を得たと俺は自負している。
奇跡って結構あるもので、
それをつかまえられるか、なんだと思う。
それは、例えるなら、
本当に飛ぶべき時に、飛べるかってことなんじゃないかって、俺は思う。
うまく言えないけどな。
普段道化だっていいのさ。
うまく言葉が出てこなくたっていいのさ。
ただ、本当に飛ばなくちゃいけないとき。
誰よりも強くならなくちゃいけないとき。
積み重ねてきた経験を爆発させて、
どうあっても手に入れたい何かに向かって手を伸ばす。
それがきっと、奇跡って言うのを呼ぶと思うんだ。
きたる3月14日はホワイトデーで、
また、愛を語りまくる日が来ると言う。
この町は愛に満ちている、らしい。
俺は考える。
シロネコさんに何か贈ってもいいものだろうか。
男から何か贈るって、
ホワイトデーは一体何のお菓子を贈るのが正解なのか、
俺はいまだにわからない。
ええい、当たって砕けろ。奇跡よ起これ!
俺は、菓子屋を目指して走り出す。
甘い甘いお菓子を、俺の白い恋人へ。
笑顔がもらえれば、
それで、めでたしめでたしさ。
トビウオとシロネコの物語 七海トモマル @nejisystem
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