学校の机を削る
大正時代
書きづらい机
学校の机は長年使われ、彫刻刀やカッターで削られることも。
自分が今日から使う、この削られた学校の机は年度が変わるときに問題となり、交換されなかったのか。ただ金が無いだけか。
嫌悪感を感じたものの、そんなことはよくよく考えたらどうでも良いと、区切りをつける。
そして、この削られた机と共に、勉強し、飯を食べ、ただ一年を過ごした。
この机は一年間、削られているにも関わらず、生き延びたということだ。
この机は、ずっと、何も文句ないように居座っている。また削っても、きっとここに居座り続けるだろう。
「僕が少しまた削ったところで、あまり変わらないだろう。」
そう思い、年度が変わる三日前の大掃除の日、机にYの字を削ることにした。削られた部分を更に削った。
削られている机を見て腹が立ったが、自分も削ってみたかった。
机の点検で来年には備品となるか、また使われるか、どちらかはわからないが、きっとここに居座り続ける。そう信じ、年度が変わった。
机のことは忘れてしばらく過ごすも、心の中には少し、学校の物を削ったということが残り、たま〜に思い出してはすぐ忘れた。
ある日、委員会の集会にあの机がある教室で行われることになった。教室に着いてすぐ、あの机を探した。すぐ見つけた。
しかし、削られていたそこには、ガムテープが貼られていた。
なぜなのだろうか。一昨年の削りは許され、なぜ去年の削りは許されないのか。ただ不満を感じた。
自分勝手にそのガムテープを破った。ゴミ箱に投げ捨てた。その机を使う人には迷惑だというのに。
しかし、ガムテープを破ったそこに削られたYの字はない。もう一つ線が削られ、Xの字があった。その机を新しく使っている人の名前を見てみると、イーロンと書いてあった。
学校の机を削る 大正時代 @agf-coffee2
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