15日目



 ラーナはビーズで彩られた織物を身にまとい、微笑を浮かべていた。

 昇ったばかりの朝日に照らされている。

 祭壇の左右には老若男女が跪いて祈りを捧げている。


「今の自分はこの地の教祖、その依り代なのです」

「わけのわからんことを言ってないでここを出るぞ!」


 伸ばした手を払われる。

 襲い掛かってくる信者たちを峰打ちで倒していく。


「共に往くことはできません。求められることが気持ちよすぎるので」

「くっ……完全に酔いしれている! お前がかわいがっていたロバ竜はどうする!」

「かわいがってません」

「ホヒーー」


 コーディが頭を掻いた。


「なんだいなんだい、カナロ教の悪癖かよ。外から来た子供を祭り上げるんだ。三日だけな」

「三日?」

「三日ですか?」


 ラーナも正気に戻って聞き返した。

 彼女が消えてから今日がちょうど三日目だ。


「そう、持て成すだけ持て成してあとはほっぽりだすのさ。教祖について一言も口にしてはならない、教祖の前では一言も発してはならない、そんな戒律もあるけどね。なんだい一文にもなりゃしないよ」


 ロバ竜に皮鎧をしがまれながらコーディはがっくりと肩を落とした。

 私はラーナと顔を見合わせる。周りには倒れた信者たち。


「……迎えに来てくださいね」

「断る」



■キャラクター・国しょうかい


バスト・エルゼン:騎士♀。巨乳を理由に追放された。

 だいぶ脳筋。


ラーナ・ケインベルグ:パヴァ王国付きの宮廷魔術師♀。

 いい性格をしている。


コーディ:竜炎団団長 冒険者♀。エルゼンのおさななじみ。

 鍵開けが得意。


ロバ竜:魔法生物。よくわからない。


◆カナロ教国 かつて現れた少女の教祖をあがめて生まれた国家。


隣のおばあさま:ラーナを攫った親切な人。

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