短編こわーい話

第13話 《無限の下降》

突如として発生した異常な現象により、都市の中心にある高層ビルのエスカレーターが恐怖の渦に巻き込まれた。それはただの移動手段ではなく、死者たちの冥途への降り口となっていた。

ある夜、勇気ある者がそのエスカレーターに足を踏み入れた。階段を下りると、彼は不気味な光に照らされた廊下に迷い込んだ。そこではかすかな足音やささやき声が響き渡り、影が不気味なダンスを繰り広げていた。

エスカレーターは止まることなく延々と続いていく。彼の前に現れる幽霊たちは、未練や怨みを背負いながらも穏やかな微笑みを浮かべ、死者の世界へ誘うかのようだった。

彼は進むうちに、自分が次第に違う次元へ引き込まれていくことに気付く。現実と夢のような異次元の風景が彼を包み込む中、彼は取り返しのつかない運命に翻弄されていく。

果たして、彼はこの無限の下降から脱出し、現実の世界に帰ることができるのか。それとも、エスカレーターの暗黒の底で永遠に彷徨う運命に堕ちていくのか。

エスカレーターの降下は、かつてその場所に存在した古い霊的な儀式の影響によるものだった。数百年前、この地に住む人々は死者の冥途への導きを祈るため、神秘的な儀式を行っていた。

しかし、彼らの儀式は禁忌を犯し、死者たちを異次元の門へと誘導してしまった。その結果、エスカレーターは通常の移動手段から外れ、死者たちが巻き込まれた異次元へと続く闇の通路となった。

これが都市の住人たちにとっては隠された呪いとなり、エスカレーターは夜になるとその異次元へと降下し、死者の魂たちが再び人間の世界に触れるという怪異な現象が生まれてしまったのだ。