第4話  わたし、死んだ?

 話を元に戻すけど、わたしだって好きで幼女の格好をしてる訳じゃないんだ。

 フィニ(フィニアスのこと)とは、出会いはともかく良い仲間になれたんだ。Cランクをもらったフィニアスだって、冒険は初心者だったのだから。

 ただ……彼の魔法の腕は、かなりのもので何度か助けられた。

 で、かれこれ五年、コンビを組んでいる。

 その間にフィニアスは、Sランクに昇格してるし、わたしもBランクまで上がってきた。

 最初は、砂漠の大サソリ撃退で経験値を稼ぎつつ、少しずつ大きなクエストに挑戦していった。


 それで分かったことが、フィニアスはとても面倒臭がり屋だという事。

 なんでも魔法ですませようとする。

 この時のサーベルタイガーの牙を切る作業も地道にやらなければ、商品の価値が無くなってしまうんだ。


 サーベルタイガーの牙は、職人の手で加工されて、美術品になることが多い、だから丁寧に扱う必要があった。


 作業が終わって、冒険者ギルドに牙とクエストのお金をもらって宿に着いた時には、わたしはもうヘトヘトだった。


 フィニアスは、余裕のある顔で


「飲みに行かないか?」


 誘って来たけど、


「それどころではないです……。わたしはもう早くベッドで眠りにつきたいんですぅ……」


 大きな口を開けて欠伸をして断わった。

 フィニアスは、「ふ~ん」と鼻を掻き、次に言った言葉の意味が、わたしには理解できなかった。


「俺たちもう、五年もコンビ組んでだぜ。そろそろ身も心も一つになろうや」


「? 何言ってるのですか? あなたの相棒は今までもこれからもわたしですよ? もう眠いので、湯を浴びたらすぐに寝ます」


「なら、いっしょに入ろうぜ!」


「結構です!! あなたは長風呂ですからね。わたしは身体の汚れを落としたら直ぐに休みたいんです」


「おい! 晩飯は?」


「いりません」


 そんな会話がエリアードとしての最期だった

 わたしは湯を浴びて、晩飯も食べずに寝てしまった。

 とても疲れていたから……。

 でも、後で後悔した。せめて肉でも食べておけば、あんな事態で、昇天することもなかったかもと思うと……。


 フィニアスの性癖のことは、さすがにもう知っていた。神殿が禁止しているものでもないし、個人のプライベートゾーンまでは口を出す気は無い。フィニアスは、いつも大人しく男娼館へ行ってたはずだ。

 今日もそうだろうと思っていた。


 なのに……なのに……なんで、よりにもよってわたしをターゲットにするんだよ!!



 わたしはぐっすり眠っていた。

 ぎい――っと僕の寝ている部屋の扉が開いた。

 半覚醒状態でそちらを見るが誰もいない……

「気のせい?この宿は、こんなに建付けの悪い所だっけ?」

 そう思った瞬間、目の前に裸のフィニアスがそこにいた。


 ……のが最後の記憶……


 どうやらわたしは、あまりのショックで倒れてしまい、過労もあってか、心臓が止まってしまった……らしい……。


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