う〇ちについて

夕日ゆうや

うんち!

 これはかなり前の話だ。

 昔昔の話。

 私がまだ小学校の低学年の頃。ハッキリとした年齢は覚えていない。


 うんち。


 それは小学生にとっては笑い話にする格好の獲物なのだろう。

 私には分からない感覚だ。下品だとも思う。

 だが、それ以上に私の記憶に強烈に残っていることがある。

 彼らがどんな生態なのか、彼らがどんな気持ちなのかは知らない。

 知りたいとも思わない。

 こんな私はきっと潔癖なのかもしれない。

 笑い話にする勇気がないのかもしれない。


 私にはその力がないのかもしれない。


 あるいはもっとスマートなやり方があるのかもしれない。


 だが、私にはこの話についてあえて語る。


 私が小学校の休み時間にトイレに駆け込んだ。

 大便をしようとしたのだ。


 笑うところではない、と私は思っている。


 だが彼らはそこにいた。


 ゲラゲラと笑い、トイレの上の隙間から顔を覗かせたのだった。

 正直、怖かった。

 あんな高いところに登り、トイレの中で便をしている私を確認してきたのだ。


 その勇気をたたえるべきなのか、そのテンションを褒めるべきなのか。

 恐らくどっちも違うだろう。

 便をするというのは大事なことなのだから、笑いものにするのは考えられない。

 少なくとも私はそう思っている。


 だが、彼らにとっては笑い話なのだろう。

 この感覚の違いは未だに分からない。


 そしてある事件が起きた。

 人が死んだ訳でもない。

 変態が現れた訳でもない。


 私は小学校の小さな椅子の上でお漏らしをしてしまったのだ。


 そのあと、どうしたのかハッキリとした記憶はない。


 ただ、担任の先生が必死でうんちを処理してくれていたのは覚えている。


 恥ずかしい。

 責任を感じた。

 トイレをするのが怖くなった。


 色々な思いが噴き出し、私はトイレが怖くなった。


 でも、トイレはしなくてはならない。


 だからトイレの件でからかうのは止めた方がいい。

 誰も得をしないのだ。


 トイレは大事なことなのだ。


 私一人がこの黒歴史を語っても何も変わらないのかもしれない。


 でも、それでも私はこれを話したくなった。

 トイレに行かなければ、人の尊厳が傷つくのだ。


 こんなことはもう止めて欲しい。



 人のうんちを笑うな。




                          ~完~

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