第424話 分身たちの行動 サバゲダンジョン その3

次の日。


「お早うございます。よく眠れましたか?」

「ああ、気を失ったからな。いつものごとく。」

「それは結構でした。確実に強くなっています。」

2号は朝食の用意をしながら、嬉しそうにしている。

「今日からは、先ずは魔法で攻撃してください。魔法の強化も必須なので。

自分の最大魔法をぶつけて、自分の力を理解してください。」

頷く4人。

*****

朝食後、準備運動している皆の前で、

「ランボルギーニさん。貴方の剣を打ち直しました。細かい事は省きますが、以前より強靭になっていますし、魔力を乗せやすくなっているはずですので、バランスなどを確認しておいてください。」と新たな黒い巨大剣を渡す。

「おおおおおおおおおおおお!かっこいい。子供の頃婆ちゃんに聞いたおとぎ話のバーサーカーのようだ。」

「刃の長さは同じにしておきましたが、取っ手の部分は少し伸ばしました。バランスと、力を出し切るときには、幅広く持てる方が良いと思いましたので。」

フンフンフーン横で剣を振りまわしながら、

「いいよ。少し軽く感じるぐらいだ。取っ手が伸びたせいか、バランスが良くなったからかもしれないな。気に入った。後で切れ味も試してみる。」

「良かったです。」とニコリとする。

残りの3人はジッと2号を見る。

「何でしょうか?」

「私もそろそろ新しいショートソードを買おうかと思っていたのよ。」とマセラティ。

「俺の剣も大分使ってきたな。」とフェラーリ。

「俺の剣も俺の進化についてこれてないかもしれない、のか?」とロータス。

「要求は聞きました。考えておきます。ただし、わざと武器を破壊したりしたら、許しませんよ。」

「「「はーい。」」」


*****


一日を終えて、皆疲れていたが、1人絶好調な男がいた。

「すげー、この剣。前のも凄かったが、物が違う。」

「何がそんなに違うんだ?ランボルギーニ。」

「全てだよ。あの剣だって凄い高かったんだぞ。それと雲泥の差って、どういう剣なんだよ。」

「だから、どう違うのよ。」

「まず、魔力を乗せる時に苦労が無い。俺も出来るようになってたけど、今は心配する事なんて考えられないぐらい滑らかだ。凄く自然にできるようになった。それもあってか、切れ味が恐ろしく鋭い。2号。いらない剣をくれ。」

ランボルギーニは剣を地面に刺すと、大剣で軽く薙ぐ。コンッという感じで。剣は二つに切れた。

「なあ。ほとんど音もしないのに切れてるんだぜ。信じられるか?それにな、力を込めると加速もする。強く切りたいと思うと剣が反応するんだよ。魔法だよ。それに、理由は分からないが、凄く集中できる。すると、相手の動きが分かってくるし、何処を切ればいいかわかる。こんなことあっていいのか?」

「ちょっと貸してくれ」とフェラーリ。

「傷つけるなよ。」

「するか!」

フェラーリは剣を持つと、じっと見てから、

「魔力流せないぞ。全然だ。」

「嘘だろう。貸せ。」ランボルギーニは剣を持って、集中すると、

「ちゃんと通るぞ。」

「「「…」」」

じーっと3人は2号を見る。

「その剣はランボルギーニさん専用です。使用者指定制限を掛けています。彼以外はまともにつかえないですし、よく切れません。棍棒の様に使うことはできるでしょうが。」

「「「2号ー!」」」

「ちょっと、差をつけすぎなんじゃないか?」とロータス。

「俺もあれが欲しいぞ。」とフェラーリ。

「あれさえあれば、私も剣聖と呼ばれるようになるかも。」

「皆さん。先に武器を向上させるか、実力を伸ばすかの違いです。いい武器を先に持てば、実力を伸ばすことは少し難しくなります。そう考えれば、今は実力を伸ばそうと思えるでしょう?」

「…でも、少しなんでしょう?」とマセラティ。

「この後、更に厳しい階層を進めば、それは誤差になるのではないだろうか?」とロータス。

「俺も、つえええええって叫びたいんだよ。」とフェラーリ。

「…考えておきます。それも大事ですが、皆さん、寝る前に新しい魔法を練習して、魔力枯渇してください。今日はこれまで。」


夜中。

「おや、目が覚めましたか?」

「ええ、急にね。」

「お茶でも飲みますか?気分が落ち着くお茶がありますから。」

「お願いするわ。」

2号はカモミール擬きのお茶を入れて、マセラティに渡す。

「ねえ、2号。どうしてあんな剣を作ったの?」

「どうしてとは?」(興が乗ってしまって暴走したとは言わない方がいいんでしょうね。)

「あんな剣、国宝級よ。私達狙われちゃうわ。」

「確かに。その可能性もありますね。心配しませんけど。」

「何故?」

「今回の特訓で、たぶんあなた達はこの国の人で上から数えて50番以内位の強さになると思いますから。まあ、強さにはいろいろありますし、相性もありますから、誰が勝つかは時の運ですが。」

「そんな事って。」

「まあ50は疑わしいですが、圧倒的な強者になります。ですから、力の使い方は後悔しないように。」

「ええ。」

「それと先の質問に戻りますが、これから何が起こるか分かりません。私があなた達に会えるのもこれが最後かもしれません。だからプレゼントという意味もあります。最後に、作っているとき楽しかったので、ちょっと力が入りました。そういう、簡単な理由です。眠れそうですか?」

「もう。なんか却って眠れなくなったわ。」

「はて?では、協力しましょう。おやすみなさい。スリープ。」

2号はマセラティを担いで、ベッドに入れてやる。

「俺の楽しみも少しは有ってもいいだろう?オリジナル。」


『スコット。剣の調子はどうですか?』

『凄く驚き、そして、喜んでいますよ。古い剣は、調整して控えにしておきました。』

『それは良かった。長さもいいですか?』

『完璧だそうです。』

『嬉しいですね。』

『他の3人がごねたでしょう。』

『ああ。可愛いもんです。マジックバッグもあげたくなりました。』

『そうですね。私達はもう会えないかもしれないから、記念品ですね。じゃあ、それは最終日までに私が作ります。』

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