第102話 準備開始
朝。
俺はンーマンとターシャの鬼ごっこを見ていた。ンーマンは確実に進歩している。今練習を途切れさせるのは惜しいが、そうも言ってられない。
俺はステラちゃんと女将さんと鬼ごっこをする。魔力の循環をさせながらなので、ゆっくりでいいからと言ってある。2人とも呑み込みが早いのか1時間もすると感覚をものにしてどんどん速くなってきた。俺は一度抜けて、水汲みに来た。
「お早うございます。」
「おはよう。昨日は大丈夫だった?」
「ええ何とか。今日も皆さんの水を運びますよ。これを作りました。」俺は三輪車を見せる。
「こうやって水を汲んで、この三輪車に乗せて押していきます。桶も3つ乗せているので、直ぐですよ。やってみましょう。」
俺は水を汲み入れて、皆の家を回った。
「楽でいいわね。」
「でしょう。これをこの井戸に置いておきますから、どなたでも自由にお使いください。」
「助かるわ。貴方がいなくなってもこれで楽ができるわ。」
「そうなんですよ。そのために作ったんです。」
水汲みが終わり、宿に帰ってきて、
「ンーマン。頼みがある。先ずは魔獣を監視する軍人を一人か二人連れてきてくれないか?そして、魔獣の大群が来たら軍に連絡できるように手はずを整えてほしい。狼煙でも、魔法でも何でもいいが、魔獣が来たら軍隊が必要だと思うから。」
「分かりました。直ぐに行ってきます。」
「此処から10㎞ぐらいだよね?」
「そうですね。」
「じゃあ、走って行ってきて。魔力循環しながら。帰りもね。」
「…分かりました。」
「よろしく。」
「マスターは、人間に任せることにしたのね。」
「いや、まだ決めていない。ただ、その準備もしただけ。ンーマンが帰ってきたら、3人で下見に行こうと思う。ンーマンの鍛錬にもなるし。ターシャの鍛錬にはもうならないかな。」
「そうですね。魔獣と戦うなら別でしょうけど。」
四人で昼飯を食べる。今日は俺がサンドイッチを作った。トメイトとレタスとオークの薄切り焼きをトーストしたパンで挟んだだけだけど。
「こんな簡単な工夫で、美味しくなるんですね。」
「いいでしょう、これ。サンドイッチって言うんです。」
「これなら私でもつくれるよ。」
午後からは、畑での魔法の練習をした。
「トメイトとジャーモとリーケの芽が出てきていますね。これに女将さんの栽培魔法とステラちゃんの促成魔法をかけてみましょう。」
2人のスキルはゆっくりと確実に目覚めている。結果として、トメイトはあと2,3日で収穫できる。
晩御飯の前にンーマンは戻ってきた。
「まだまだ元気そうだな?鍛錬が足りないか。」
「頑張ってますよ。」
「それで、兵士は来てくれそうか?」
「はい。明日には来る手はずです。」
「お疲れさん。もう一つ提案があるんだが、グルゴウィル領側で軍が準備しているか下見に行かないか?鍛錬もかねて。」
「グルゴウィル領主と接触するつもりですか?」
「いや。向こう側がちゃんと準備しているかどうか知りたいだけだ。嫌な予感がするからな。」
「いいですよ。時間があるなら。往復しないといけませんから。」
「此処から町までどの位で行けた?」
「10㎞ですから15分ぐらいでしたよ。」
「そうか、それなら問題ないな。明日の早朝に出るから、村長に軍人が来たら櫓に登って見張るように伝えるよう頼んでおいてくれ。それと、お弁当は女将さんが提供すると。それと、君の剣を研いでおくから、置いていってくれ。」
「分かりました。」
俺は女将さんに弁当のことを頼んで、ついでにうどんの細麺を使ったうどんミートソースの作り方を教えた。今夜はうどんミートソースを食べられる予定だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます