ループ系ロボット物の主人公っぽい辺境伯令嬢幼女に憑依転生

@7576

プロローグ 4回目の終わり

私の生まれ故郷である南方大陸は今まさに巨人の手に落ちようとしていた。

南方大陸という呼び名は私の今いるこの北方の島国の呼び方だ。

祖国が滅んで以来、私はついにここまで来たのだ。


〜国連軍対巨人飛行決戦艦「ラグナロク」艦橋〜


「艦長、魔信に入電あり。司令部より作戦開始命令を受信。メッセージもあります」


「読み上げなさい」


私はそう答える。

私の名前はレイナ・トラベルタ。

今は消え去ったストタル王国トラベルタ辺境伯令嬢よ。

そして今回は国連軍対巨人決戦艦「ラグナロク」の艦長もやっている。この世界ラーシアにおける決戦を意味する名を冠す軍艦である。


「作戦ノ成否ハ貴艦の双肩にアリ。人類の反撃ヲ開始セヨ。国連軍作戦司令部。以上です」


私はループを繰り返す存在だ。覚えている限りではこれが4回目になる。

ループを繰り返すたび記憶にない技術がこの身に身につき、知識が増えた。

きっと記憶にないだけでもっと多く私は繰り返しているのだろう。


「艦長、魔力充填120%、いつでも発進できます。レールを壊してでもこいつを打ち上げられますよ」


私は静かに頷く。

そして言う。


「ラグナロク、発進」


ラグナロクは全長200メートルに及ぶ飛行戦艦だ。人類の持てる魔導技術を結集し、砲弾のように飛翔し、巨人の地下都市へ突入するための艦だ。


「魔導ジェット出力上昇! 噴射開始!」


レールに沿って、飛行戦艦は飛翔した。


私はこの時、重力に耐えながら、巨人への勝利勝ち取ることしか考えていなかった。


あの転生者ならば、さながらマスドライバーによる打ち上げのようだったと笑いながら言うのでしょうね。

この時宇宙まで行けたら苦労はしなかったでしょうに。


巨人は戦闘種族である。魔術による制約を自らの種族に課して、強力な力を得ている。

使える魔術は身体強化と強力な光線を放つことのみ……そして大地に生きる種族だ。


だから地下都市に住む。地上は魔力を吸われ、不毛の大地となる。草木も、石ころも何もかもなくなり、ただただ頑丈な灰色の大地となる。


ラグナロクには光線に耐えうる魔法によるシールドに頑強な装甲、巨人と戦うための大砲や魔動人と呼ばれる5メートルほどの人型兵器まで搭載されていた。

人型兵器の手には最新の機関銃があった。

繰り返しの中でレイナ・トラベルタが見つけ出した武器である。

魔動人であっても弓と剣で戦っていたのにここまで彼女はやったのだ。


地下に繋がる大穴に突入し、ラグナロクは地下都市に侵攻した。



私は最後の1人になるまで戦った。

ラグナロクがその航行能力を喪失した後は魔動人に乗り込み、文字通り最後の1人となるまで。


そして私はまた負けたのだ。




この世界ラーシアの人類は滅びの運命にある。数万年周期で人類は巨人に文明を滅ぼされていた。


滅ぼされ、復興したと思えばまた巨人に滅ぼされる。巨人の遊戯盤と化したそんな世界なのだ。


だが今回の人類は違う。

巨人と人類の争いは人類の敗北では終わらない。

今回は死んだら巻き戻るそんなループ存在がいるのだ。

彼女が諦めるまで人類が負けることはない。

彼女は覚悟が決まっている。

しかし、このままいけばその諦めはいずれ来ることになっていたのだった。



とまぁそんなところに厄介オタクな転生者がやってきて彼女に憑依する。

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