第42話 【スーパースターズ】

 俺たちは帰途についた。


 その途中で、セイバーズらしき二人組の男性に声をかけられた。

 俺は義母の手先かと警戒したんだけど、依頼票を見せてきた。

「セイバーズ【スーパースターズ】だ。護衛任務だよ。そう警戒するなって」

「……依頼票は、偽造できますから」


 そしたら、ナニ言ってんだ、って顔をされつつ即行ツッコまれた。

「いやできないって。ここ、セイバーズ協会のサインが入っているだろ? 依頼者のサインと支部長のサイン、あと受付担当のサインも必要だ」


 ……確かにサインが入っている。そしてこの依頼票は、俺が知っている形式だった。

「依頼票の形式も時々刷新しているし、他にも偽造防止が施されているんだけど、それは君たちがセイバーズになってから教わるよ。今は話せない」

 と、言われた。


 ……どのみち、もう帰るだけだ。攫われるとか襲われるとかはないだろう。


 【スーパースターズ】は周囲を警戒しつつも俺たちに事情を尋ね、俺が主に話した。

「キマイラか……。一年生だろ? 怪我がなくてよかった」

 怪我どころか、死ぬかと思ったけど。


 その後、いろいろ話すうちに、彼らの出身校がアウズンブラアカデミーだとわかって俺とエドウィンに火がついた。

 どうりで「怪我がなくて良かった」程度の感想だよ! アウズンブラアカデミーでは日常茶飯事ですか! 死にかけましたよすみませんね!


 やさぐれつつもアウズンブラアカデミーの話を聞く。

 学年関係なく、実力があればどんどん危険地帯へ狩りに出かけるし、実力がなくても狩りに行かせる。

 依頼は早い者勝ちだから、特に朝は大混雑する、等々。

「「早い者勝ちィ!?」」

 ソレ、俺たち絶対に負けそうなんだけど……。


 結局、何事もなく着いた。

 教官たちが何人もで出迎えてくれて、【スーパースターズ】の面々と話している。

 俺たちがアイテムハンター候補生だと知り、

「「マジかよ!?」」

 と、驚いていた。

 アイテムハンターはセイバーズでもあまり知られてないって言ってたけど、以外と知られてるんだな、って思ったら……彼らはRランクのセイバーズだから知っているということだった。


「過保護だと思ったら……」

「そりゃ、Rランクに護衛依頼をするわな」

 彼ら、態度には出していなかったが『過保護すぎだろ、セイバーズになるならトラブルは自力で対処出来なくてどうする』って思ってたらしい。

「稀少種の保護だったか~」

「その言い方やめてください。それに、対処出来ますよ。チームでなら、なんとか倒しましたし」

 ムスッとしながら言ったら、【スーパースターズ】の面々が興味津々で尋ねてきた。

「で? キマイラ倒したんだろ? どうだった?」

 俺たちは顔を見合わせる。

「……初めて倒したので、どうだったのかわからないんですけど……」

「なんか、やたらたくさん出たな」

 ……と、教官たちも食いついてきた。というか、シモンズ教官は居残りだったよ。いたよ。

「ふむふむ! たとえば何が出たのかね?」

「肉は出たな」

「あと、たぶん蛇の毒みたいな袋状のものが出ましたね」

「すんげー熱そうな袋も出たな」

 全員が、おぉ! と驚いた。


「ヤベェ、さすが稀少種だ」

「キマイラのドロップアイテムでそんなん聞いたことねーぞ」

 【スーパースターズ】の二人が口々に言う。

「さすがだな! キャル鑑定士の方が詳しいが、Sランクのレアドロップアイテムと考えて間違いはない! それに、部位別ドロップもあるようだ!」

「「部位別ドロップ?」」

 シモンズ教官によると、大型魔物は倒し方により、稀にドロップアイテムが増えるということだった。今回は、蛇部分の尾と獅子部分の頭部を引き当てた、と言っている。

「あー……。そういえば、冷気のせいか、途中から蛇が死んだようになってた」

 死んだよう、じゃなくて死んでたのかな。

「槍を口ン中にぶっ込んで殺したから、頭を引き当てたのかね」

 エドウィンも言ったら、シモンズ教官が頷いた。

「恐らくそれでだろう。だが、確実に出るとは限らない」

 はいはい、俺たちの引きの強さですね。

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