おやつの時間、きみとぼく

menou

窓辺の天使

病室で迎える誕生日。

頑張ったけど、私のこの病状では外泊許可はおりなかった。

幼い頃から体が弱かったわたしは大学と夜勤の仕事を掛け持ちしていた結果ストレスで持病が悪化して入院する羽目になったわけだけれど、この後身体が治ったら精神科に入院することも決まってる。

ここまで長いこと入院になったのは久しぶり。

朝の採血、検温をして脈を測ったあとは看護師さんが運んでくれた朝食を摂る。

もともと食は細い方だから残してしまうことも多々あるがゆえに罪悪感が絶えない。

一応20歳になるまでは小児科扱いらしく、小学校の頃に何度か食べた給食のようなものを相部屋の子どもたちと食べるのだが、相部屋の子たちは年齢も私より幼ないだけあってプレイルームでわいわいがやがやと遊んでいるけど、私はそうもいかない

なんせ今日で19なのだから。


食事を済まして薬を飲むと、日課にしている院内散策をリハビリのつもりので車椅子移動をやめて今日は自分の足で院内を散歩してみる。


弱った体に鞭を打って歩いても、特に具合は悪くならなかった。

点滴が抜けたら今度は外の広場でマラソンをしてみよう

いや、棒を押して走れば問題はないはず。

気分が良かったからバーっと走れた

久しぶりの心地よい疲れと共にあまり良からぬ感じの疲れもする

でもまだいける

もっともっと前へ前へ 

だめだ。

視界がぐわングワンと歪んでいく。

点滴棒に捕まって ゆっくりゆっくり…やっとの思いでついた部屋には誰もいなくて安心した

ベットの横にある窓に浮かぶ雲を目で追いかけていると、外の空気が吸いたくなってきた

特に理由があるわけでもなく、漠然と開けたくなった。

窓を開けるとものすごい風が吹いてきて、しばらく目が開けられないほどだった。

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