この本のおかげで書籍化できた 中華ファンタジー資料3選

水無月せん

はじめに(まずは資料数冊紹介)

2024年3月1日に角川ビーンズ文庫よりデビュー作『葬送師と貴族探偵 死者は秘密を知っている』が発売となります。男バディの中華ファンタジーです。

<書籍情報>

https://www.kadokawa.co.jp/product/322308000498/

<書籍化作の原案となった小説>

https://kakuyomu.jp/works/16817330649588990286


宣伝から始めるのか? 普通は最後に宣伝では?


と思われるところですが、紹介する資料が小説を書く上で役立っただけではなく、その小説が初書籍になったというのは役立ち度合いの感じ方も異なるかもしれないということで、冒頭でまずおしらせさせていただきました。

あくまでもビギナーが書籍化に至るまで役立った資料です。

何作も中華ものを書いている人にはあまり役立たない情報となりますので、あらかじめご了承ください。


前置きが長い! 書名だけを早く!


と思われる方は斜め読みで書名のみ拾っていただければ。



長編小説自体は趣味で山ほど書きましたが、中華風の設定で長編を書いたのは初です。

実在の国や時代をベースにして書くにはとにかく資料が必要です。

世の中にはなんとなくの雰囲気で自分の世界を作れる天才もいますが、私は凡才なので想像のみで「中華風ファンタジー」は作れません。webである程度の情報は拾えるし、実際たくさん情報は集めましたが、国の歴史はわかっても「昔の中華世界での人々の暮らし」などを丁寧に説明しているものはそう見つかりません。

膨大な情報の海に飛び込み必要なものを拾う、フォントも色や絵柄も大きさも違うカルタを掴むカルタ大会のようなやりにくさです。探しにくいし収集したものの整理もしにくい。


そこで、やはり書籍ですよ。

書籍は最高。

webには無料の情報が溢れていますが、書籍にはお金を出して得るだけの価値があります。

webはおおまかな調べものか、情報のベースがある人がさらなる情報を拾うには便利なので、使い分けするのがいいでしょう。


とはいえ、役立つ書籍を探すのに、また別のカルタ大会が必要になります。

まずはAmazonなどで検索し役立ちそうなものを探しました。内容説明とレビューを参考にするしかありません。

中華といっても各自ぼんやりと、どんな感じのを書きたいかイメージはあると思います。漫画『キングダム』や三国志寄りの古めの時代か、華やかな唐あたりか、清など近代よりか、など。国名や統治者など歴史的なことはwebでざっくりわかりますが、古い時代ほど日常生活が想像しにくかったので、近代ではない日常がわかるものを、と、まずはこの本を買いました。



『古代中国の24時間 秦漢時代の衣食住から性愛まで』中公新書


現代人が古代中国にタイムスリップして日常を体験していくというラノベ的設定の物語調になっているので読みやすいです。物語調と言っても現代目線の傍観者であり、主人公が命を狙われたり仲間ができたりとかではないので淡々と読み進められます。情報量も多い。

人名について、日常生活について(髪型や服装、食事)、建物、役人の出勤、市場で買い物、農作業、恋愛、宴会、歓楽街など。

興味深い内容ばかりですが、これはあくまで「古代中国」の話なので、時代が異なれば大きく違う部分もあるでしょう。


やはり書くものの時代やキャラの身分立場などは決めてから資料探した方が効率的だなと改めて実感。

しかし決めるためには資料が必要。

卵が先か、鶏が先か、状態です。



『中国時代劇がさらに楽しくなる! 皇帝と皇后から見る中国の歴史』辰巳出版


後宮を書くなら皇帝と皇后とその周辺についてはある程度把握しておかなければ。

ということでこの一冊。

歴史的なことも知りたかったのですが、脳内ビジュアルを文章化していくタイプとしては、想像するためのビジュアルが必要で、そのためにドラマを見たいと思っていたので、見るドラマを選ぶ情報にもなればいいなと思い選んだ本です。「中国時代劇10選」という章では後宮がメインのドラマが紹介されています。

掘り下げた情報というより、後宮ものドラマなどを見るのに知っておくとより楽しめるかもという一冊。


しかしまた改めて思うのは、後宮の男女恋愛もの以外を書きたい気がするので、もっとほかの情報が必要だな、と。中国時代劇(華流ドラマ)を見ていてもドロドロ恋愛ものより男たち(+女性)の政治的なかけひきや戦とかに面白さを見出してしまうので。



『中国の服飾史入門 古代から近現代まで』マール社


時代ごとの服飾がフルカラーの緻密なイラストで紹介されています。見ていて楽しい一冊。

時代ごとの微妙な違いがわかるのがありがたいですが、描き下ろしイラストは基本的に一時代見開き+αなので、書く時代を決めている人は「もっと情報がほしい!」となるかもしれません。見ながら「この時代もいいな~」と考えるのには良い一冊。



以上3冊は、資料を探している人には既によく知られている本だと思います。

何冊か読んで思いましたが、長い歴史を持つ国なので、どの時代をモデルにするか早めに決めないと、効率が悪い。

ざっくり把握した感じでは、「清」などは現代に近いので生活様式が書きやすそうですし(調べていると、たとえば「椅子と机は庶民はいつ頃使い始めたのだろう」「時計はいつから」などと疑問が湧いてくるが、新しめの時代だと疑問が少なめで済む)、女性の髪型や服装がかわいくていいな~と思うのですが、男性の髪型が独特なので「中華ものなら長髪イケメンでしょ!」の私の場合は除外かなと。


漫画『キングダム』くらい昔になると、戦がメインで日常を描くのが難しそう。歴史ものを書くわけではないので日常描写が多い時代がいいなと。

やはり「現代ではない中華もの」で自分が書いてみたいのは「唐」のあたりだな、と思うわけですが、書きたい題材と時代がマッチするか。


私が題材を決めるために必要だった本、脳内ビジュアルを明確にするのに役立った本、書きたい時代の情報が充実していた本、計3冊を次回から紹介していきます。

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