雪はきっと、あの頃より冷たくて

モリアミ

雪はきっと、あの頃より冷たくて

 窓の外は白い。珍しくも。マンションのベランダにはそろそろ5センチ位、雪が溜まりそうだ。

 積もる程雪が降るのは、ここらだと結構珍しい。それが、こんな何もすることも無い休みの日なら、その確率は尚更に低い。まぁ何もすることが無いってのは、雪が降ってるからってのがその理由の半分と言っても良い。それにしても、良く降るもんだ。

 思えば、こんなに真っ白な景色を見たのは何年振りだろう? 多分、去年も一昨年も、雪は降っては積もり降っては積もっていたはずなのに。それを眺める時間が無かっただけだったのかもしれない。大体、いくら北国生まれだっていっても、雪なんてもんは地域によって格差がある。だからそう、子供の頃は雪が積もればみんなはしゃいでたもんだった、気がする。学校の帰り道に雪なんかあれば、みんながみんな手で固め、どこからともなく雪玉が飛んできたもんだった、はずだ。そもそも寒いだけで雪なんて大して降らないし、積もるったって何メートルも積もったりしないんだから。たまに降ればお祭り騒ぎだ。でもまぁ大人になって見ると、雪なんて有り難くは無い、よなぁ。雪掻きなんて怠い、足元は悪い、交通にはダメージ、休みはパァ、まぁ休みは休みか。だから、だから? だからまぁ、雪ダルマでも作って見るか、たまには。

 窓の外は見た目程は寒くも無い、もとよりそう、雪の降る日は結構温かい日、そんな思い出補正が自分にはある。だからまぁ、なんの気なしに雪を掴んで丸め始め、その恐ろしい程の冷たさに驚愕することになった。子供時代、よくもまぁこんなものを後生大事に丸めたもんだよ、本当に。途中何度も挫けそうになった。そもそも、誰に見せるでもねぇし、止めても誰も何も言わん、それでも最後までやり遂げた。そこまで大層に言う程じゃ無いが、まぁ多少不細工気味でもソレは出来上がったのだ。そして、これ以上は掌が耐えられない。そして、ベランダに鎮座する30センチ程の塊を見てこう思うのだ。まぁ、保っても精々3日だな、明日は天気良さそうだし。

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