人形劇

夜猫子

準備はいい?


幕を上げて

ライトの用意

仕掛けはばっちり


さあ


スポットライト

お決まりの言葉をどうぞ


始まるよ?



我らの舞台

僕の舞台で

君が見る舞台


支配人がお上品にお辞儀をしたら

もう僕が視線を独り占め


演じよう

喜劇を

悲劇を

君のお好みはなに?

お望みのままに


演じよう

歌うように

華咲くように

激しく


さあ!

観客ドモよ


喝采をちょうだい

拍手をちょうだい

罵声でも構わないけど

どうせなら嵐のように


やるならもっと

僕をぐちゃぐちゃにしてほしかった

ちゃんと

僕をずたずたにしてほしかった

心と体に

染み込ませてほしいんだ


僕は生きてる

僕は存在してる


ワンチャンス

もう一度?

そんなものはないよ

あげないよ

ストロベリーとア・ピクチャー

なんてステキな言葉


全てが一度きり

過去も未来もあるけど

前世と来世はないんだね

だからこそ


もっと

ぐちゃぐちゃに

ちゃんと

ずたずたに

僕が憶えていられるように

ねえもっと

僕を作り変えて見せてよ


君の望む夢を見せるよ

理想を歌うよ

幻想を咲かせよう

目まぐるしい展開を

そう

まるで


僕を人形みたいに扱えばいい

土をこねて

糸を付けて

鏡を張り付けて


君が望むから

僕が叶えてあげるんだ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

人形劇 夜猫子 @yoruninetai

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ