ホタルの墓の舞台にもなったと言われている西宮市には、兄妹が池近くに住み着いた、その池が『ニテコ池』と呼ばれる場所だといわれています。その池のすぐ近くには震災記念碑公園という公園があって、震災の犠牲となった西宮市民の追悼の碑が置かれており、そこには貴文さんのご両親の名前も記されています。


 姉は結婚が決まったその年に、一度、その慰霊碑まで貴文さんと一緒に行ったことがあるのですが、

「あの震災記念碑公園の近くに、両親と会えるスポットがあるっていうんだよ」

 と、貴文さんが言いました。


 そのスポットとは多くの車が行き交う県道沿いにあるのだそうで、決して危ない場所ではないということ。気持ちの整理をつけるために一度、そこを訪れたいと思っていること。被災地を訪れるボランティアの方々の中には、震災を経験した方も多く、そして大事な人を同じように亡くした方も居るわけで、そんな人達から話を聞いて、

「今度の週末に行ってみようと思う」

 と、貴文さんは宣言したそうです。


「貴文さんが出かけたその日の夜に、病院から電話がかかって来て、貴文さんが入院しているので家族の方に来て欲しいって」


 道端で失神しているのを発見され、救急車で搬送された貴文さんは高熱を発して意識が戻らない状態だったそうです。脊椎から多くの菌が発見されたものの、その菌が一体何の菌かは分からず・・・

「その日から・・本当におかしなことが起こるようになったのよ」

 と、姉が言い出した。

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