第19話 第5683次宇宙大戦4

「ちょっと待ったー。」


クミン指導者やキミちゃん帝王様などその他連合に加盟している種族が艦隊を率いて押しかけて来た。


「ピータン、楽しいことの1人じめはずるいよ。」


高度知性体って好戦的なのか退屈なのか、みんなでよってたかって、これじゃただのイジメだよ。


あっという間に物量的にも圧倒されたブリサワルス皇国の第7艦隊の艦長が絶句する。


だけど先に物量でものを言わせた気になっていたのは自分達だからね。


「なんだ?この艦艇の量と種類とスケールは?めちゃくちゃじゃないか?こんなのどうしたらいいんだ。」


でもヴァイ星人のテクノロジーは量や大きさじゃないんだ。


ヴァイ製の航行バス「 ピム15」は最新鋭の航行器だし、これ1器で充分皇国を制圧してしまう。


「もう宣言しちゃったから実施するよ。」


その言葉を聞いてブリサワルス皇国の第7艦隊は一斉に主砲を打つ。


無数のビームや高質量弾がピム15に向けて射出される。


一応ピム15が旗艦だとは認識しているようだ。


第1次攻撃は終了したようだ。


通常ならこれで航行器は跡形もないはずだから。


ピータン達はパトロール艦から皇国の第7艦隊の旗艦の艦橋に転移する。


「効かないよ。そんな前時代の武器じゃピムに傷もつけられないよ。」


艦橋のクルー達はピータンの精神攻撃で身動きすら取れない。


「制圧を開始します。」


ピム15から細いけれどくっきりとしたビームが放射状に射出される。


砲塔や砲身の存在は確認できない。


ビームは皇国の艦艇を貫き破壊する。


破壊された艦は残骸を残さず空間に収束されるように消えてしまう。


数分で皇国の旗艦とピム15、そして連合の艦艇以外は何もなくなってしまう。


「残骸を残すと航路上で障害物になってしまうからね。」


アーフがさらりと解説する。


宇宙空間にも航路があってリニア航法の際の道になる。


リニア航法は障害物を嫌うので定期的にスペースデブリや星惑星群などを掃除しているそうだ。


ピータンは何も考えずに皇国の艦艇がこの航路にぼんやり実体化して来たのが気に入らないんだと思う。


おそらく第7艦隊の司令官であった男はその戦力の違いに打ちのめされた。


「皇国はいったいどうなってしまうのだ?」


「すでに皇国の支配下にあった星は解放され連合との条約を取り交わしました。」


「あなた方の母星も制圧を完了。」


「皇帝は拘束、ブリサワルス皇国政府は解体。全国民に対して再教育プログラムを開始しました。」


まさに蹂躙だね。


「えーっ。もう終わり?私達ってただの野次馬って事?


クミン指導者やキミちゃん帝王様などその他連合に加盟している種族が艦隊を率いて押しかけて来ていたんだった。


「マーケットが大きくなったんだから視察でもしたら?」


ピータンが言う。


でもピータンって星間通商連合の宗主国M76星団 ウリアレス恒星団、惑星ヴァイ統一国家の星間通商連合新規事業部開拓課課長でしょ?


「課長レベルでこんなことして大丈夫なの?」


シンはいつの間にか来ていたミルクァに聞く。


「えー。こんなの通常なら発見し次第アーフがマニュアルを参照して処理する事で、わざわざ課長がする事でもないよ。ピータンは面白がってやっているだけ。」


「だいたいピータンの上司なんていないし。」


「?」










  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る