第6話 クミン指導者

「何これ?カレーライスって言うの?味覚に意味があって、脳の状態が高揚するって言うのか、あーもうなんなのー。」


クミンがスプーンを振り回してぴょんぴょん跳ねている。


「ぎゃーっ、クミンちゃんかわいー!!萌えー。」


なんかあかん奴らが舞い上がっている。


普通にクミンの一挙一動を配信するだけでバズる。


「ねえねえリアリエ、クミンとコラボする?」


グンタがクミンの動画を見ながら言う。


「いいわね、面白いものが出来そうね。」


珍しくリアリエが乗り気だ。


「誰?」


突然シュッツグル星人の宇宙艦の艦橋内に男の子と小さな女の子が転移してくる。


宇宙艦はエデンの衛星軌道を周回している。


宇宙艦は通常外部からの侵入を防ぐために次元防御膜に覆おわれていて上位テクノロジーでも無ければいきなり誰かが転移してくるなんて事はない。


シュッツグル星統合政府クミン第一指導者はりんご飴を持って司令ボードの前で寝転んでいた。


連合との条約の締結で一応ゲスト会員になったのでアカシックネットワークのマルペケ動画のアカウントがとれた。


それで搭艦員みんなでいろんな配信動画を見ていたところだった。


「クミン指導者ダンス踊ってみた。」


などの動画もあってアーフと大笑いしていた。


自分のことなんだけど平気なのかな?


「あら、エデンのシン首長とラドよ。」


アーフが素早く2人の画像からネット検索して身元の確認をした。


「シン首長はわかるけどこのラドってなんなの?奥さん?」


いくらテオテニーって言ってもそりゃあかんじゃろう。


ラドが人化を解いて元々の姿を見せる。


床に空いた黒い円形の次元の穴からニョロっと出た棒状の体に大きな2つの目玉と頭頂部にある先端が球体のアンテナのようなもの。


宇宙のどこにでも出現するが何なのかわからない謎の存在、未だ存在が明らかではない第1種知性体なのでは?ぐらいの情報しかアカシックレコード上にも記録がない。


「これって(それ)って存在じゃないの?なんでここに?」


「初めましてクミン指導者。」


話しかけたのは副首長のアキだ。


ラドはアキも転移させてきた。


ラドに時間も距離も行動を隔たる事は出来ない。


他の第1種知性体の存在は確認できていない。


ラドがそれに当たるのかどうかは推測にすぎない。


だが他の知性体を超越している事には違いがないようだ。


アキは既にアポカリプスとクミン指導者のコラボについてはシンとの情報の共有でわかっている。


2人は共有の記憶ディレクトリをもっているので伝達に齟齬が生ずることはない。


多分便利だと思う。

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