国語辞典改訂記録
半ノ木ゆか
*国語辞典改訂記録*
(プログラムによる自動翻訳)
かつて、ユーラシア大陸の東端の島々では、大陸とは異なる独自の言語が話されていました。この言語は、現代の言語学では「古極東列島語」と呼ばれています。
古極東列島語は、最盛期には一億人以上の話し手がいたと考えられています。しかし、出生率の低下で緩やかに減少してゆき、第三次世界大戦後に世界共通語が広まったことで、地球上から完全に消滅しました。
古極東列島語の実態は、長らく謎に包まれていました。いくつかの地名が列島各地に点在するほかは、二十九世紀に編纂された『古極東列島語辞典』で、五十ほどの単語が知られていたのみです。しかし、近年の関東沙漠における発掘調査で、東京時代の古文書が千点近く出土し、研究は大きく進展しつつあります。
この資料は、埼玉海浜遺跡から出土した古辞書と『古極東列島語辞典』から、五、六個の単語を抜き出して時代順に並べたものです。十九世紀末~二十七世紀に編まれた六冊の古辞書は、全て「恒常社」という同一の出版社から刊行されました。ページを捲れば、地球の自然言語の変遷が手に取るように分るはずです。
昔ながらの言葉があらぬ姿に変り果ててゆくのを見て、寂しく思う方がいらっしゃるかもしれません。しかし、もっと昔の時代から、言語はとめどなく変り続けてきました。もし、平安時代の貴族が東京時代にタイムスリップしたとしたら、道行く人が何を話しているのか、全く理解できなかったことでしょう。
言葉とは、雲のようなものです。常に流れていて、決まった形がありません。いつの間にか現れて、気付いた時には消えているのです。
天の川銀河言語学会 資料編纂部
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