第33話 晴人の愛の深さと強さ Ⅱ

「晴人国王陛下、怖くてできません。申し訳ありません。」


「ヴァイオレットさん、このチェアーに座ってごらん。」


「コーヒーと紅茶はどっちがいい?」


「紅茶でお願いします。」


「はい、どうぞ。」


「ありがとうございます。」


「う~ん。キリマンジャロの香りは最高だなあ~。」


「ヴァイオレットさん、肉を食べるっていうことはね、こういうことなんだよ。初めからステーキとしてあるわけじゃないんだよ。誰かが皮をはいで、お腹を切って、心臓や肺や胃や腸などを取り除いた上で、筋肉の部位ごとに切り分けていくんだ。それを我々は食べているんだよ。だから、命をもらって我々の命は存在する。食事を食べる前に僕は両手を合わせるんだけど、これは、食事で頂いた命に対する感謝の表現なんだ。」


「では、ソフィーナ女王陛下は好き好んで動物を解体するわけではないのですね。」


「そうだよ。感謝と祈りの心をもっている女性だからできるんだよ。」


「凄いです。尊敬します。私なんかソフィーナ女王陛下の足元にも及びません。」


「ヴァイオレットさん、ソフィーナはね、覚悟と勇気を持っている人なんだ。国を守る、国民の命を守る。自分の力でも守る。だから、何でもチャレンジして恐れちゃいけないっていう覚悟を持っているんだよ。シカの解体をするときのソフィーナの瞳はとても鋭いよ。鬼気迫るものがある。大腸や小腸には、人間が食べると病気になる菌が混ざっているからナイフで傷つけちゃいけないんだ。額の汗をぬぐいながら必死になって動物の命を頂戴している感じかな。それにねえ、変化に対応する能力が凄いんだ。死の『骸骨の森』の魔物や魔人が、俺の配下になったとたんに抱き着いて、踊るんだよ。すごいでしょう。万里の長城を造ったり、貨物列車のレールの作業をしているモンスターズたちに、焼き芋を焼いたり、ピザを焼いたりして、それを魔法を使って増やしてから差し入れに行くんだよ。だから、モンスターズの連中は、愛情をこめて、ソフィーナ女王陛下じゃなくて、『ソフィーナの姉さん』って呼ぶのさ。」


「おっと、シカの肉をそのままにしたら腐っちゃうから次元収納ストレージに入れなきゃ。」


「晴人さん、私の身勝手で困らせてすみませんでした。理由は皆さんに私から説明します。私はソフィーナ女王のような人間になりたいです。今回の、側室の申出を取り消しても良いでしょうか。」


「うん。いいよ。」


「ヴァイオレットさんの人生は、ヴァイオレットさんが決めた方がいちばんいいに決まっている。いいかい、ヴァイオレットさん、一度きりの人生だよ。だから、あなたの生きたいように、好きなように生きるんだよ。そしてね、外の世界にも目を向けるんだよ。城の城壁の中の景色は、今のあなたには、あまりにも狭すぎるよ。護衛をたくさんつけていいのだから、外の世界もみてごらん。俺に頼みがあれば、聖獣の晴人タイガーや晴人フェンリルを護衛に貸してあげるよ。1匹で100万の軍隊をやっつける力を持っているからね。遠慮なく言ってね。」


「はい!ありがとうございます。」


「うん。ヴァイオレットさん本来の明るい声だ。その声のまま生きていけ!」


「はい!」


「じゃあ、もういいね、ロンバルド共和国城に転移するよ。」


「はい!」


「スッ。」

「スッ。」

「スッ。」


「パッ。」

「パッ。」

「パッ。」


「あなた!あなた!ロンバルド国王!ヴァイオレットがもう帰って来たわよ。中庭のテラスに晴人国王陛下といるわよ!」


「近衛兵!近衛兵!」


「ハハーッ。」


「至急、ソフィーナ女王陛下とセオドア上皇とエリス上皇后を中庭のテラスに案内してちょうだい。」


「ハハーッ。」


 その10分後には、ソフィーナとセオドア上皇、エリス上皇后、ロンバルド国王夫妻がテラスに集まった。


 これまでと見違えるほど明るい声で、

「晴人国王陛下以外、みなさん紅茶ですよね。晴人国王陛下のログハウスからこっそりキリマンジャロの箱を持ってきちゃいました。晴人国王陛下は、キリマンジャロですよね。」


 その10分後、ヴァイオレットが突然、口を開いた。

「皆様!この度はお騒がせして申し訳ありませんでした!晴人国王陛下への側室の申出を諦めたいと存じます!これは、晴人様に強制されたことではございません!私は王女として、いえ、一人の女性としてあまりにも未熟者でした!もっと様々な世界に目を向けて、一人の女性として、王女として、覚悟と勇気を持ち、心を成熟させていかなければならないと気付きました!私の目標とする人物は、『ソフィーナ女王』でございます!ソフィーナ女王のように毅然とし、正義感と覚悟と勇気を持ち、他者への思いやりや優しさを大切にする人間になろうと思います!今回は、本当にお騒がせ致してすみませんでした!晴人国王陛下と過ごしたのはわずか半日でしたが、晴人国王は、無理強いをせず、自然な形で私の心を正しい道へ導いてくださいました。晴人国王陛下に心から深謝いたします!」


 すると、ロンバルド女王陛下が拍手をし始めた。それにつられて、ロンバルド国王やセオドア上皇、エリス上皇后までもが拍手に加わった。

「パチ、パチ、パチ、パチ、パチ、パチ、パチ、パチ、パチ、パチ、パチ、パチ、パチ、パチ、パチ、パチ、パチ、パチ、パチ、パチ、パチ、パチ、パチ、パチ、パチ、パチ。」


 ロンバルド女王陛下が口を開いた。

「やっと、もとのヴァイオレットに戻りましたわね。長くかかりましたが、ようやく声に張りのある元気なヴァイオレットの声に戻ることができました。これは、本物のヴァイオレットの姿です。晴人国王陛下に心より感謝申し上げます。」


 一人だけ拍手をしなかったソフィーナがヴァイオレットに尋ねた。

「ねえ、バイオレットちゃん、いったい晴人に何をされたの?」


天地神明テンチシンメイに誓って申します。晴人国王陛下とは一切の肉体関係はございません。また、晴人国王陛下に口止めもされておりません!ただ、ひとつだけ言えるとしたら、晴人様のソフィーナ様に対する愛の深さと強さを教えていただきました。それ以上は、ご容赦ヨウシャくださいませ!」


「これまで、本当にご迷惑をおかけしました!晴人国王陛下、ソフィーナ女王様、セオドア上皇、エリス上皇后、もう夕方ですので、ディナーでも召し上がって、明日お戻りくださいませ!では、私はこれにて失礼いたします!」




 その後、晴人の部屋ではソフィーナから質問攻めに遭う晴人であった。

「ねえ晴人さん、いったい何があったのよ。ヴァイオレットちゃん、全くの別人になっていたじゃない!」


「だから、今言った通りのことだけだよ。」


「晴人さん、つまり、どういうことなの?」


「ソフィーナには確実にできて、ヴァイオレットさんには確実に無理だろうってことを敢えて自然な形で試したんだ。そうしたら、彼女は、ターゲットが俺じゃなくて、ソフィーナに代わっちゃったんだ。自分のあまりの未熟さを彼女は人生のどこかで知らなきゃいけないんだ。それを俺が自然な形で教えてやったんだ。箱入り娘で、怖がりで、自分一人の世界に閉じこもっている自分を、彼女は人生のどこかで誰かが教えなきゃならなかったんだ。」


「それになあ、もしソフィーナが男性で、俺がソフィーナの妻だとしたら、ソフィーナが他の女性と○○○をするのに耐えられない。絶対に耐えられない。その前に俺はソフィーナの前から姿を消す。一生一人で生きていく。ソフィーナは俺のもので、俺はソフィーナのものなんだよ。俺はソフィーナ以外の女性に気を奪われたり、ましてや絶対に○○○なんかしたりしないね。俺の妻は、生涯ソフィーナただ一人だ。この惑星の一夫多妻制なんて、クソ喰らえだ!」


「ごめんね、晴人さん、ウエエエエーン!ウエエエエーン!ウエエエエーン!」


「ソフィーナにだけには、最後まで俺のことを信じて欲しかったよ。俺はソフィーナ以外の女性を抱いて喜ぶようなオトコじゃねえぞ!」


「ごめんなさい。ごめんなさい。晴人さん、バカな私を許してください。ウエエエエーン!ウエエエエーン!ウエエエエーン!ウエエエエーン!ウエエエエーン!」


「ソフィーナ、もう泣くな!お前が泣くと、胸が張り裂けそうになる。だからもう泣くな!」


「晴人さん、許してくれるのですか?」


「許すとか許さないの問題じゃない!ソフィーナは他の男性に抱かれたいのか?」


「いいえ、そんなこと考えたこともありません。」


「ソフィーナ、それと同じなんだよ。」


「俺もなあ、ソフィーナ以外の女性を抱きたいなんてこれっぽちもないんだよ。」



「なるほど。晴人さん、やっとに落ちました。」


「だったら、ソフィーナ、今すぐに一緒にお風呂に入るぞ。」


 入浴が済むと、いつも晴人の独壇場であった。晴人はバスローブを着たまま、ソフィーナだけを裸にすると、


「真っ直ぐ立って、俺を見て。う~ん。最高だ。綺麗だ、ソフィーナ。」


「晴人さん、恥ずかしいです。この変なクセ直りませんか?」


「直りません。直しません。こんな最高な美人の裸を直接ガンミできるって最高に幸せなんですよ。夫である俺だけの特権です。ソフィーナの裸って色々な角度からみても本当に綺麗なんだよなあ~。ソフィーナ、こんどは背中を向けて下さい。う~ん。最高だ。綺麗だ、ソフィーナ。」


「晴人さん、私、幼いころからフェンシングしていたから、お尻と太ももとふくはらはぎと足首が太いので、嫌なんですけど。」


「う~ん。最高だ。ソフィーナ。最高のプリプリお尻に、盛り上がった筋肉の太ももとふくらはぎの筋肉、そして、それを支える頑丈な足首。ソフィーナは嫌でも俺にとっては、最高なんだよ。宇宙一綺麗なんだよ。」


「もしもし、晴人さんとソフィーナさんですか?ミニッツです。ソフィーナさんは、晴人さんの赤ちゃんがほしいのですよね。」


「はい、すごく欲しいです。」


「でしたら、晴人さんの前技が済んだら、ソフィーナさんは、体を丸めたような形になって晴人さんに挿入してもらってください。これを『屈曲位クッキョクイ』といいます。つまり、横から見たときに、ソフィーナさんの体が2つ折りのようになるのです。そうすると、晴人さんの性器が奥深く入りますので、そこでたっぷりと出してもらってください。それから、後背位と呼ばれるバックから挿入することも有効ですが、お互いが見つめ合い、愛を確かめ合いながらするには、『屈曲位クッキョクイ』が理想ですよ。そして、ソフィーナさん、妊娠率は、毎日すると約40%、1日おきだと約30%、1週間に一度だと15%になりますので、毎晩、晴人さんに抱いてもらってくださいね。それでは失礼します。」


「あれれ?ソフィーナ、今のは何だ?」


「ミニッツさんからでしたわね。」


「あいつ、のぞき見しているのか!今度、とっちめてやる!」


「でも、晴人さん、とても大切なことを教わったのですから怒らないであげて下さいね。二人で前技を楽しんだら、晴人さん、私も腰と太ももを上げるので、晴人さんも手伝ってくださいね。そして、いっぱい、いっぱ~い私の中に出しちゃってくださいね。それから、毎晩、私を好きに抱いてくださいね。キャハ!楽しみが増えちゃったわ!キャハ!」




 ※ この後のことは、読者の皆様のご想像にお任せいたします。

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