37色 カラーメモリー

「おはよー!」


 今日も快晴の空の下、わたしはゲンキに教室のドアを開ける。


「おはようございますアカリさん、今日も気持ちのいい元気な挨拶ですわね」

「相変わらず朝っぱらからそんな大きな声を出さないでくれるかい? 頭が割れそうな位痛くなるよ」

「……おはよ」


 それぞれの反応でみんなは挨拶を返してくれる。


「あら? ワタクシは貴方の頭が破裂しようがメガネが砕けようが構いませんわよ?寧ろ消えて無くなれですわ」

「ふん、相変わらず、どこぞの暴力お嬢様は天才であるこの僕に対する嫉妬が醜いね。 まあ、仕方ないけどね」

「ナニを仰っているのでしょうかこの妄想メガネは? さっさとそのメガネごと砕け散れですわ。 ハイ!ドボゴンッ!!」


 フラウムは握りコブシを開きながらいう。


「何だよ! ドボゴンッって、一体どんな事をしたらそんな奇怪な音が出るんだ!?」


 二人はいつものように口喧嘩をはじめてしまう。


「あはは……今日もはじまっちゃったね」


 いつも通り、朝の当番の仕事を終えて戻ってきたクロロンが頬を掻きながらそれをみていた。


「おはようクロロン」

「おはよういろのさん」


 互いに挨拶をかわすと教室の入り口の前ですこし話す。


「クーにも、もっとこの日常をみていてほしかったな」

「そうだね」


 わたしたち三人はあの後いつも通りの生活に戻った。


 クーのことはみんなにちゃんと話したよ。 はじめはみんな驚いていたけど、わたしが一番落ち込んでいたことをわかってくれたのか、みんないつも通り接してくれたんだ。


 おかげでわたしはゲンキになって、いつもの楽しい日常に戻ることが出来たんだ。


「みんなもだけどありがとうね! クロロン! おかげでゲンキになることができたよ!」


 わたしはクロロンにお礼をいう。


「いや、いろのさんにはたくさんたすけてもらってるから、すこしでも役にたててよかったよ。 『この前』もね、こちらこそありがとう」


 この前?


「クロロンもしかして……」

「みっくんおはよう! 昨日のアニメみた?」

「……みてない」

「え~!? なんで!? すごいアツイ展開だったよ! 死んだと思われていた、フレイムが大ピンチのシルバーをたすけるところとか!」


 クロロンの言葉が気になって聞き返そうとしたけど、シアンとアニメの話をはじめてしまった。


「………」


 やっぱり聞かないでおこう。


 わたしは言葉を胸にしまうと二人の会話にはいる。


「なになに! わたしもその話気になるよ!」



 世界からしたら、今、わたしの過ごすこの時間はほんの一瞬の出来事なのかもしれない。 だけど、わたしにとってはこの『今』がかけがえのない思い出。 わたしの色々な記録が詰まった『カラーメモリー』。



  

   カラーメモリー『Re・MAKECOLAR』 ~アカリとフシギなタマゴ編~         おしまい

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