26色 アカリの試練1
トビラをぬけた先は身に覚えのある場所だった。
「あれ? ここって《学校》?」
「ピュル?」
周りを見回すと、見なれたグラウンド、校舎、花壇など、よく目にする場所だった。
「なんで学校に飛ばされちゃったんだろう?」
なんでか考えてみるけど、おバカなわたしにはさっぱりわからなかった。 こういった難しいことは、いつもマルとシーニが考えてくれてたからね。
とりあえず、わたしでも出来ることを考えてみる。
「探索をすればいいのかな?」
そう思い、いろいろと見て回ることにする。 もう一度周りを見回すとフシギなことに気がつく。
「あれ? なんだか静かで『だれもいない』?」
いつもならスポーツ科の人達がトレーニングをしているはずなのに、やけに静かだった。 それに、他の科の人も見当たらなかった。
「なんでだろう?」
もしかして、この場所に、わたしとクー以外の人が存在しないのかな?
「とりあえず、教室に行ってみよう」
とりあえず教室にむかうことにする。
玄関に入って、クツを脱ぎ、下駄箱に自分のクツを置こうすると、あることに気がつく。
「あれ?」
四つとなりの下駄箱に紐なしの黒色のクツがあった。
「このクツって確か……」
クツを下駄箱にいれ、廊下を走らないように急ぎ足で教室にむかい、教室のドアを勢いよく開ける。
「やっぱり!」
教室の中には髪が左右にくるくると跳ねている緑色のパーカーの男の子がいた。
「クロロン!」
クロロンはわたしの声に振り返ると、かわいい笑顔をむける。
「あ、いろのさん待ってたよ」
「え?待ってた?」
教室の中にいたクロロンに待ってたといわれ、わたしはキョトンとする。
「えーっと、どういうこと?」
「ごっごめんねいきなりそんなこといわれても変だよね」
クロロンは慌てて手を振る。
「どこから話したらいいかな?」
ちょっと待ってね、と言葉を続ける。
「えーっと、結論から言っちゃうとねぼくは《ぼくじゃない》んだ」
「んん?」
どういうことだろう? クロロンはクロロンじゃない?
「つまり、今いろのさんの目の前にいるぼくは《ニセモノ》ってことなんだ」
「に、にせもの!?」
クロロンの言葉にわたしは驚く。
「うん、試練とその説明のためにぼくたちが創られたんだ」
「ぼくたち?」
「ぼく、以外にもみっくんとれいたくん、そして、きのせさんがいるよ」
「みんないるの?」
困惑するわたしにクロロンは丁寧に説明してくれる。
「うん、そして、試練の内容はみんなをみつけてカケラを集めることだね。 そして、隠れている神獣をみつけることだよ」
「戦うんじゃなくて?」
確か、クーデリアは戦ってもらうっていっていたような?
「ぼくたちを創った神獣さんは『人と人とのかかわり』がみたいらしいんだ。 だから、いろのさんの記憶から、ぼくたちのコピーを創ってそれを確認したいみたい」
頭からぷしゅぷしゅと音を立てながら、わたしはがんばって理解しようとする。
「つまり、わたしは学校にいるシアンたちをみつければいいってこと? なんだかかくれんぼみたいだね」
「そうだね、そしてぼくは必要ないかもしれないけど、いろのさんのサポートをするみたい」
「ありがとう♪クロロンも手伝ってくれるんだね」
そして、わたしとクロロンのみんなを探す探索がはじまった。
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