第3話 言えない


私という人間は、とても単純です。



本当の私を知らない人は…「花簪さんは優しいですよね」って言う。



いいえ、私は全く優しくなんてありません。




好きか嫌いか


関心があるかないか


白か黒か


0か100か



どちらかしかない…とても単純で極端な人間なんです。




だから

私を「優しい」と思う人は…裏を返せば私という人間を知らないということ。




キャバクラで働いていましたよ。



家出して上京したので【生きる為】にね。



妹を連れて家出したので、私が働かなければ…私も妹も生きていけませんでしたから。



私は高校を辞めて上京したので…せめて妹だけは、ちゃんと学校を卒業させてあげたい。



今の時代、高校卒業しないと資格も取れないのだと感じて…私はキャバクラで働きながら単位制の高校に編入しましたけど…。



キャバクラで働けるのなんて、絶対若いうちだけ…って思っていたから、私も妹もその後は専門学校に行きました。



妹の学費、私の学費、生活費、光熱費、食費、マンションの家賃…それらを全部稼ぐには、キャバクラしかなかったんです。(当時の私の頭で考えつく結果として…ですが)



毎月50万以上稼いでも、ほとんど貯まりませんでしたけど…。(ここは笑うとこですw)



それでも、私が妹を連れて家出した以上…寝る時間がなかろうが体調が悪かろうが、生きる為に働かないといけない。




幸か不幸かそんな経験があるので…ある程度生きていくのに必要であろう日常会話や挨拶は、一応出来るんです。



なので…本当の私を知らない人から見たら「優しいですよね」になるわけです。




それはそうですよ。



本当に優しいかどうかは別として、優しそうに振る舞わなければキャバクラでお客さんなんてつきませんから。




ほらね?


私、全く優しくなんてないでしょう?



ついでにいうと、思ったことを素直に言えないし伝えられない。



ここまでくると、自分で自分が本当に嫌いになります。



だから戻ります。



元の私に。



きっと、それが1番良いのでしょう。












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