第16話 やっぱアイツラとんでもないな、

魔力を感じてから一週間は、鳴らすために魔力の操作の練習をしており、今となってはまるで手足のように滑らかに動かす事ができるようなっていた。そして現在、僕は昼食ととある魔力の練習をする為に屋上に来ていた。


そして分かったことがいくつかある。


この魔力、実は身体能力を強化することが出来る。足が早くなりたいのであれば、下半身全体を魔力で纏うようにすることで、筋肉の負担が多少は減少し、結果的に動きやすくなったりするからだ。実際には何倍も出来ると言われたら普通に不可能だし、1.2倍ぐらいの速さなんじゃないだろうか。けど、強いよな。


ついでに頭の回転もフルになる。この魔力というのはそもそも、自身の中で可視化できていなかった部分を脳が何らかによって作用し、結果見える様になったという感じらしい。で、そこを使うのが普段は使っていない脳の部分。そのサボり魔の脳部分が魔力に詰め込まれる事によって、普段使っていなかった脳が普段使う脳と同じ様に使用が出来る様になる。結果、頭の回転が早くなるという感じ。文字で書いたから面倒臭いな。


まあそんなメリットの塊みたいな魔力のお陰で、僕の勉強速度が爆上がり。今や某京都のめちゃくちゃ頭の良い大学の1教科1年の過去問を6時間時間をかけて、20点を叩き出し、涙を流した事だってある。100点になるにはやはり5年しか掛からないね。


そんな魔力だが、やはり放出するのには限界がある。それを魔力量というのだが、それがそもそも低ければ、魔力の放出が限られてしまう。それを無くすためには、鍛えるべきだというわけなのだ。エンペラーに僕が鍛えたいという思いをぶつけると、あるモノを作ってくれた。それは、簡単に言えば、消費する魔力量を10倍にしてくれるアイテムとのこと。ただ、問題として左手の薬指に着けないと効果がないらしい。そして、それをエンペラーもまた同じ様に着けるとあら不思議、消費した魔力分がエンペラーに付与されるのだ。あら、これはエコだね。環境にも配慮されている。


校則上指輪を着けちゃいけないというものはないため、当たり前の様に着けていると先生には殴り掛かられることもしばしば。本気で何で?。


鍛える方法は簡単。とにかく放出をする。その方法に最適なのは僕自身の魔力を放出する為に座禅を組んだ時の方法の逆バージョン。むしろ、めっちゃ広げていけば良い。指輪の効果でマイナスなので範囲は狭くなるけど。


そう思いながら、魔力を放出するために座禅を組む。食べ終えた弁当箱を横に置いて、息を深く吸い込む。


聞こえるのは小さな物音や、人の騒ぎ声など様々。しかし、時に百合展開みたいな声が聞こえるが、実際にはキャベツとナスを特殊融合召喚した様な顔がイチャイチャしているのが現実。黙ってスルー。


「ッチ、深郷田ぁ……!。ゴミの分際で優雅さんに近づきやがって!!」


しかし、その中に聞こえるのは嫌な声が聞こえるもので、僕に対しキレているバイト仲間の声も聞こえるのだった。


「そうですね……舐めてますよなアイツ。けど、殴ってもヘラヘラしてるんですよ?。どうしたら良いのかねぇ……」


「……あ!、コレどう?。退学処分……あいつにやった罪をなすりつけて……退学にさせてやるの!!……もし停学処分で済んだんなら、またやったら………確実じゃね?」


次に聞こえたのはよくつるんでいる2人の声。何やら本格的に犯罪に片足突っ込んでる。罪状は分からないけど、適当に言ったらなんか当てはまりそうではある。ま、まだ決めたわけじゃないけど。


「お?、それ良いな!。女子の体操服取って精子付けて深郷田のロッカーにブチ込めば……確実だろうな……」


はい、犯罪者。それにしても、即興でそんなこと言えるのかよ。すげえな最近の子は。そう思っていると、更に息が荒くなってくる。まずい、時間切れだ。僕はすぐに魔力消費をやめて、息を整える。それと同時に、本格的に優雅ネキに助けてもらうことになる時が来たなと少し笑みを浮かべる。


「………とんでもなくヤバい奴等だったということが分かったのはさておいて……電話をするか……」


ポケットからスマホを取り出し、優雅ネキに掛ける。


『もしもし……どうしたのかしら……なにか嫌なことでもあった?……』


最近はずっとこういうことしか話しかけてこない。最近母だと見間違える様になった。髪型もなんか似てきたのだ。まあ普通に学校にいるから学校の母と思っている。その学校の母にさっきの話をする。すると自分の話でもないのにブチギレ始める。曰く、そんなことされるほど嫌な人物ではない。そんなに先輩の言うことが好きなのなら、その話で勝手に盛り上がれば良いとのこと。その大人びた発言に僕は凄いなと思いながら、僕の作戦を話す。


『………ほ、本当に良いの?、貴方、停学になるのよ!?。』


「そこに関しては僕は問題はないよ。むしろ休みたいし」


電話越しに残念そうな溜息を漏らしたあと、有難うと述べ、電話が切れる。


「それにしても………冤罪で性犯罪者扱いか…………キツイな」


嫌になる程きれいな青空を見て思うのだった。


ーーーーーーーー


「お前!!、人として恥ずかしいと思わないのか!!」


現在、冤罪をなすりつけられ中。あの話を聞いてから放課後のこと。事の始まりは被害にあった女性が体操服を無くしたことから始まる。その人物は僕とクラスメートで、少し美人な方だった。その日の六時間目は丁度体育のため、着替えようとした所ないことに気がついた。急いで説明をしてもらったものの、それが信じてもらえるわけがなく、怒鳴られ見学ということになってしまった。


その放課後、僕がロッカーを取り出すと何やら体操服が入っていた。案の定彼女のもの。それをタイミング良くゲロ外道が見つけて、俺が犯人になりましたという話らしい。


「ぼ、僕!!ホントにやって無いんです!!」


「石山から聞いてるんだぞ!!、それでも言うか!!」


相手は熱血教師の長谷川。めっちゃ熱くて人当たりが良い。うざ絡みされることはしょっちゅうだが、それでも良い先生という評価だ。ただ、悪人には本当に容赦しない。救いようがないやつにとんでも無いドスを響かせながら、ブチギレ寸前に言う。現に僕も青筋立てられて手も出そうな状態で言われているのだ。怖すぎる。因みに石山というのは例のバイト仲間こと、こんなやつになりたくない代表。くたばれ。豚と性交してろ。


「確かに、僕の所に体操服もありましたし、それを見ている人もいます。……ただ、僕は本当にやってないんです!!」

 

「証拠が十分持っているのに?、ほんッッッッとに救いようが無いな……。」


あまりのキチガイさに呆れ気味の長谷川先生。安心してくださいよ。僕だってこんな奴いたらブチギレて殴り殺してるから。


「………分かりました。今、僕は本当に嘘を言っていません」


「まだ言うのか?、だからおm「だから、証拠を集めてきます。」……は?」


ぽかんと口を開ける長谷川先生。手元には、停学処分になる期間と、反省文を書くための紙がある。僕は停学処分になる紙に了承のサインを書く。


「今の僕では信じてくれはしません。しかし、証拠を集められれば話は別です。今、協力してくれる方が一人だけいます。その人を辿って本当の犯人を見つけて来ます。………停学処分の期間です。その間だけ待ってください」


僕は目を向ける。その固い思いに対し、混乱混じりにお、おうと気圧される先生。


「有難うございます」


そう言うと、僕は先生にその停学処分を預ける。はっと我に返った先生は、それの誤字がないか確認した後、そのまま帰れと、静かに言う。


僕は頭を下げると、そのまま部屋から出ていった。これで僕は停学処分になったのだった。

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