第9話 非日常に巻き込まれるのは日本男児の夢だよね

 僕は気分が良い。なぜか?それは僕たちの夢の一つ!!非日常!普通は巻き込まれるのが夢でもあるだろう。まあ、普通に腕を切られたのは予定外ではあったけど……ま、それが現実何だから仕方ないよね。


そして現在、学校のお昼休憩、死んだ目をしながらもしゃもしゃとサンドイッチを食べているクラスメイトを横目に引っ掛けられている弁当と水筒をもって、屋上に行く。バイト仲間が来る前にとっとこぉぉ走るよ寿一郎という感じに屋上にチーター顔負けの走りを見せる。大好きなのはぁぁ確変と金ぇぇ。


 そこで君たちは何故僕が屋上に行ったのか疑問で思っているだろう。僕も何でこんな所に追いやられているのか意味がわからない。というか、今回の件全面的に僕は悪くない。


 元々の原因としてあのクッキーが関係している。ということで、あのときの登場人物を思い出そうか。僕と優雅ネキ、そしてバイト仲間。この3人だったはずだね。そして、この中で損な役回りをしたのがバイト仲間だ。彼は僕を徹底的に排除することで、優雅ネキに興味を引こうとした。しかし、結果的に逆効果で悪い方向に事が進んでしまった。


 ここで少し聞きたいことだけど彼はどういう性格であると思う?。





 正解はプライドが高いものの、本当は自信がない厄介な奴だ。だからこそ、今までの僕を徹底的に排除することで地位を得た。そうすることで、自信が高められるし、プライドが守られる。


 そして、今回俺の優雅さんに興味を引けなかったのは、僕のせいだと。僕が変な事を吹き込んだから、そう言われたのだと。そう自身の中で曲がりに曲がった解釈をし、結果それを触れ回り、リアルで隅っこで暮らしてる僕はろくに話す相手もいないため、僕は虚言癖のあるキチガイだと定着してしまった。まあ、ある意味そうなのかもしれないけど、侵害にも程がある。


 結果僕の机はグチャグチャになっても教師含め、僕の自演自作だろう。何故なら、正義感も強く優しい皆のヒーロー、バイト仲間君がそう言っているから。


 という感じに僕の人権は教室になくなってしまった。170以下は人権ないしね、しょうがないね。


 それにしても、優雅ネキ、最近めっちゃ心配ッスメール送りつけとるやん。『草さのさ』っと。ウワッ着信掛かってきた。拒否っと。これはね、別に僕が嫌な奴だからというわけじゃなく、逆に彼女に近づいてないよっていう証拠になるんだよね。


「いやぁ、サンドイッチは良いねぇ、それに屋上ってさ、やっぱり景色が良いんだね。ホントに見られないやつ、悲しいなぁ」


 また着信掛かってきたよ。何なんだよ。ったく気分台無しだよ。良し、応答だ!!


「なに?金の無心?もう金無いよ?」


『…………死ね……』


 酷っ、そんな事を思いながら、サンドイッチを少しかじる。キャベツのシャキシャキがマヨと良いアクセントになっている。


『……大丈夫なの?ミンチにされてない?』


「え?別に何もないけど」


 あらあらあら、過保護になっちゃって。2週間前のツンツン具合がもう見るも無惨な姿になっている。最早母さんだ。結婚したら凄く良い人になりそう。


『…私、もう耐えられない……あまりにも酷すぎるわ………』


「そうだけどね、別に気にすることじゃないと思うんだ。まだ出席停止にさせられるほどの冤罪になっている訳じゃないし……ただ誰にもやらなくなるようにすれば良い様にしてほしいけどね」


それに、こういうシチュも悪くないかなって。脳内で彼らをメスガキにすればそれはそれで興奮する。


『……誰にもやらないようにって……気にすることじゃないって何?このまま貴方が傷つくのを見ててっていうの!!』


 あらあら、やっぱ訂正、めちゃ良い人だ。なんだ、ただの塩対応ネキじゃないだね!!見直したよ優雅ネキ!!次からはスーパーアルティメットめちゃくちゃグレートネキとして、活動してほしいね。


「イヤイヤ、そういうわけじゃないんだよ?今の優雅さんには本当に助けられているよ。ただ、君が協力するのは最期で十分なんだ」


実際は僕自身、きたしてるものがある。けれど優雅さんが味方になっていることで精神的にも安心していると思う。実際そうだし頭が上がらない。


『え……何かしら……』


 いつものニヤけた顔を更に歪め、秘密と呟く。やはり僕は業があまりにも深い。けど、今までのことを含めてと言ったらトントンだと思う。それに、僕自身の汚名返上をするにはもっと圧巻で、見る人の心を抉る#天才の演技__・__#を見せてあげよう。………何いってんだろ。


「優雅さんには本当に嫌な役割を押し付けてしまう。だからだろうね、変なことを吹き込んだなんて言われてるの」


『………あら、私はそうとは思ってないけど』


 いつも通りの、優雅ネキだ。やっぱこれだよね。ゲームとかの最初期にあるものがしっくりするのと似ている。某熱血超次元サッカー漫画のお嬢様みたいな?


「それじゃ、じゃあね。バイバイ」


 さようならと聞こえると、コロンッという子気味の良い音が聞こえ、さっきまでに見ていたニュースの一覧が目に映り、その中で見つけたかったものが目に止まる。


記事の写真にはいつも見慣れるバイトの通勤路と同じで、丁度異能力者同士が争っていたところだった。記事の写真と共に『道路に複数箇所の焼け跡、子供達に火遊びの注意喚起』と書かれていた。調べてみると、僕達が争っていた場所では子供の笑い声や、面白半分で叫ぶような声が近隣住民からの苦情できていたらしい。


僕達2人以外は何もいなかったため、誰かがこれを改ざんしたのか、それとも、僕たちの声がそもそもそういう感じに聞こえていたのだろう。


「まぁ、そういう感じになると思ったよ」


僕はそう言いながら、最後の一口に齧り付く。しかし、そこからハムが飛び出し、地面に落ちてしまった。


その落ちたハムを見て、僕は眉間に皺を寄せ、ため息を付いた。今日は厄日かもしれない。


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