第2話 新世界
僕は普通のよくある4人家族の2つ上の姉がいる弟だった。
公立の中学校に通い、特別なにかすごい才能があるわけでもない、それなりの成績の見せ物になるわけでもない運動神経の男だった。
ただ一つ、どうしても譲ることのできない好きなものがあった。
競馬だった。
中学生のこの年でなぜ好きになっていったのか。馬券を購入することも競馬場に行くわけでもない。
当初熱中していたメダルゲームが原因だ。
僕は、友達と遊ぶのにゲーセンに行くことが多かった。
そこのゲーセンには大きなメダルコーナーがあり、その中の一角に競馬ゲームがあった。
競馬ゲームは、メダルを1枚からbetすることが出来て、それが当たれば100枚、1000枚、いやそれ以上にもなる。
メダルゲームの費用は1枚10円程度だ。大量の枚数を購入しようとなると少しお得になるシステムだった。
当時の僕らにとって1000円分の100枚すら非常に価値のあるものだった。
それが競馬ゲームでいとも簡単に1枚が100枚になるのだ。
当時の僕らの間ではゲーセンカーストが生まれていた。
必死になってメダルを増やそうとしていた。
時には、悪さもしていた。色んなメダルゲームの床下を漁ってメダルを集めたり、メダル単価の安い他の店舗のメダルを持ち込んで使用していたりした。
それも全てカーストの上に立つためにみんな必死だった。
どんなメダルゲーム機があろうと僕らはみんな競馬ゲームを選んだ。
カードを買うことで競走馬を育成することが出来て、レースに勝つことで大量のメダルを獲得することができるからだ。
僕らは放課後の部活動が終わると一斉にゲーセンに駆け込んだ。
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