くりあげ

くりあげ

ようやく人生の終幕だ

ここで俺は死ぬんだ

お天道様には顔向け出来ないほど悪三昧したからきっと地獄だな

そう男が感じた瞬間に

脳裏に膨大な記憶が

サーっと駆けていった

「君は繰上げで天国ね」

意識が覚めた直後に

見知らぬ人にそう伝えられた

急にそう伝えられて戸惑いつつも

反射的に否定した

「それは相応しくない！

　殺しをしたんだ！地獄だろ！」

見知らぬ人は言った

「数値的にはそうだけど地獄にも定員数が決まっているから笑。総合的な数値を、配慮した結果で君を繰り上げしたんだ」

訳が分からなく不満気な顔を俺はしてた

俺の表情を奴は察して答えた

「あなた方の多数は善悪で判断するが

　自己都合の価値観でだろ？

　あなた方が決めたソレの様に

　我々の都合の様に規定を設けるのは駄目　なのかね？

　ある基準設定を設けて

　相対的評価をして成績を付けて評価が高　　ければ区別する。

　君が居た所もそういう場所だよね？」

ソイツは早口で俺を威圧してきた

いやオレが威圧されたと勘違いしただけだ

オレはのらりくらり、ヤツの顔を覗くと

事務的な笑顔を浮かべていやがった

「どこも一緒だな」

捨て台詞と共に、オレは天国へ向かった