お金持ちの自慢

星尾月夜

第1話 転校生はお金持ち!?

「はーい。今日は転校生を紹介します。では、宮本小百合さーん、自己紹介お願いします。」

私たちのクラスの担任の先生、松浦美乃先生がチャイムの音と同時に言った。これから学校が始まるんだなという実感が沸いてくる。改めて、私は野宮和乃。私たちは青海小学校に通っていて、楽しく暮らしている。私たちは5-1。あと1年で5年生だ。さてと、それは置いておいて。教室に入ってきた転校生は、胸の少し下くらいまである髪の毛。きれなが系の結構鋭い目。一瞬見た瞬間、「お金持ちの子なのかな?」と思った。だけど、その予感は当たったんだ。

「初めまして。桜島女子小学校から引っ越してきました、宮本小百合と申します。よろしくお願いいたします。」

パチパチ、と拍手があたりに鳴り響く。桜島女子小学校って、この県で1番頭がいい学校!それくらい頭がいいんだ。

「宮本さんの席は……。野宮さんのとなりです。あの子のとなりの席に移動してね。」

先生は優しい声で言いながら、私の方を指差した。そして、宮本さんがやってくる。

「よろしく!」

宮本さんはウィンクをしながら私に話しかけてきた。……この子って、さぞモテるんだろうなぁ。上品な格好と上品な言葉使い。なんか憧れの女子って感じ。

「…よろしく。」

私は驚きで少し返事が遅くなってしまったけれど、宮本さんはニコッとしたままだ。最初は好印象だったのに。後から痛い目を見るようになるなんて、今は知らなかったんだ………。それが発覚したのは、その2週間後くらい。お金持ちの自慢が始まった。すっかりクラスメイトに溶けこんだ宮本さんは、クラスの中心になった。そして、「私の家はお金持ちなのよ。」とお金持ちマウント。とりまきもどんどんできて、美人(?)な宮本さんは、男子たちを虜にした。(のらしい)

「ねえ、野宮さん。」

「…何ですか?」

私はちょっとぎこちなく言った。

「ううん、タメ口でいいわよ」

お嬢様のためか、宮本さんは「〜わよ」「〜よ」と婦人(夫人?)みたいな話し方をしてくるようになった。

「え、あ、うん、宮本さん。」

私はダメ出しをされたかのように言った。別にダメ出しはされていないけど。

「「宮本さん」とか、苗字とか「〜さん」とかはやめて。「小百合」だけでいいよ。」

「あ、はい。小百合。」

そう言うと、宮本さん、じゃなかった、小百合は満足そうにうなづいた。これが私と小百合との始まりだったんだよなぁ。



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お金持ちの自慢 星尾月夜 @yyamaguchi

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