第5話 実験開始
「いやいや、人間生きてれば色々ある。別に死ぬな、もっといいことがあるなんてカッコつけたことは言えん。わしも大して良い人生を歩んでこなかったからな。ただ自分が開発したこれで、誰かが空を飛ぶところを見たくてな。お前さんにやってもらえたら嬉しいんじゃが」
老人の姿を見て、若い男の心は揺れた。
自分は全く取るに足らない人間で褒められるような立派な人間からはほど遠い人生であったが、どうせ死ぬつもりだったなら最期くらい人助けの一つくらいしても良いではないか。
「わかりました。その研究協力させてください!」
老人の表情がパッと晴れたように明るくなった。
「本当か⁉」
「はい、一つお願いしますよ」
老人は若い男に向かい小瓶の口を向けて、シュッと中の薬を吹きかけた。
「?」
若い男は自分の姿を見た。変化はまだない。
「大体一分後くらいかの」
大体一分が経った頃、若い男はクラクラした感覚を覚えた。
そして背中に違和感を持った。
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