~Scriverò tutto di me qui~

のらにのい

1.5-0 繋がりの書

~Scriverò tutto di me qui~

ここに私のすべてを残す。


 俺の人生が変わって1年近くたった。あの時から人生のすべてが変わっていた。

 そして、俺の考え方も変わっていた。

「荷物届いたよ」母親が俺の部屋まで段ボールを持ってきてくれた。

「なんか外国からの荷物だけども誰かわかる?

 俺は、誰から届けられたのか確認してみると見覚えのある名前だった。

「念のため中身確認してもらった方がよかったかな?」

「大丈夫だよ。それに俺の荷物なら俺の前にあいつの検閲が入ると思うしね」

「確かにチャラチャラしているけど裏でいろいろしているからな」

 そう、いつもあいつはチャラチャラしていた。敵にも味方にも、だからあいつの正体を知ったときは正直驚いた。そして、この荷物はあいつにとっても重要な物であるから確実に中身を見ていると確信があった。

「母さん、少し一人にさせて」俺は、一人になり段ボールを開けた。中には、数枚の紙が上にあり、その下には古びた本とA4ファイルが入っていた。

1枚目は、この荷物の送り主からであった。

~元気でやっているか?お前に頼まれた翻訳は終わったから送る。覚悟して読んだ方がいい内容だ。~

「覚悟がいる内容か.......わかっているよ。最後に渡してきた物だからな。」

 俺は、古びた本を手にした時のことを思い出した。

~「いつかお前も私と同じになるだろう。変えてしまった責任を背負うことになるぞ。餞別だ。これが俺のすべてだ。」~

 あの時のことを思い出すと俺はなんとも言えない心境になってしまう。それでも.......俺は前を向いていかなければならない。

「変えてしまった責任.......」

 古びた本は筆記体で読むことが出来なかったため翻訳を依頼していた。そして俺の元に戻ってきたのであった。

 物思いに老けながら2枚目を見るとやっぱりなと思う奴からの手紙であった。

~先にコピーは取った。確かにこりゃ笑えない物だ。先のこと考えておいた方がいいぞ~

「やっぱりあいつ見てるよな」

 古びた本の表紙には~Scriverò tutto di me qui~と書いてあった。俺は、それを見た後、A4ファイルに手を伸ばした。

 A4ファイルの最初のページには~ここに私のすべてを残す~とあった。どうやら、表紙の翻訳らしかった。

「ここに私のすべてを残すか.......日記なのか」俺はそう思いながら、翻訳されたあいつの本を呼び始めた。

 この時はまだ、あいつの残した言葉の意味を理解できたなかった。



  * * * * * * *


7の5月

4の国の王が面白いことをしていた。自分の行動を記録に残してた。こんなことなんの意味になるのかわからなかったが王の話を聞いてみると、自分の考えを永遠に残せると、自分の死期を考えての用だった。確かにあそこの王は老いぼれだから、我々も友好関係である。私も彼をまねてここに私の日々を残そうと思う。


7の10月

記録を残すと思いつつなかなか書くことができていない。ほぼいつもと同じような生活だからな。今のところは戦がないから俺もゆっくりできる。


  * * * * * * *


 読み始めて見ると書かれていることはほぼ日記のような物であった。どこに行ったとか、部下の話とか、過去の人間の行動を知ることができるのは何か面白かった。

「どこが覚悟いる内容なんだよ。」

 人の日記を読むのは確かに抵抗があることではあるが、あいつらに取ってそんなことで覚悟を持てなんて言わないよな。俺は、そんなことを思いつつ読み続けようと思ったが久々の読書であったので睡魔に襲われていた。

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