第4話・掛け違う言葉

翌日。俺は誰よりも早くログインした。

家にはまだ誰もいない。


今日もエリスとダンジョンに行きたかったけど仕方がない。

昨夜はテンション上がって太陽が昇ってから、みんな眠った。

だから早くても人が来るのは日が沈んで月が昇る頃だろう。


俺の予想通り。

夕飯を食い終わった頃に人が集まりだした。


『エリスはまだ来てないの?』

『寝坊?』

『珍しいね』

『エリス無しで行く?』

『昨日勝ててリズムは掴めたし、今いるメンバーで大丈夫でしょ』


俺はエリス以外に背中を預けるのは不安だなと思った。

案の定、エリスのいない俺達は負けた。


翌日も翌々日もエリスは来なかった。

別に俺達には他の回復職メンバーはいたし、エリスにしか出来ない特別な魔法は何もなかった。

それなのに、俺達は一度は勝てたイカに二度と勝つことが出来なかった。


『盾が真っ先に死んでんじゃねえよ』

「うっせー、ヘボ火力。さっさと倒せ。ノロマ」

『エリスが持ち逃げした指輪があれば……』

「持ち逃げなんてしてねぇよ。ばーか」


エリスはきっと帰ってくる。

ちょっと風邪引いてたとか、そんなだよ。

申し訳無さそうに、恥ずかしそうに。ごめんなさいって言うんだ。


俺達はそれを待ってるだけでいい。


そうしているうちに、ひとり、またひとりとギルドを抜ける者が現れ。

俺達の家は、広くてがらんどうな箱になってしまった。

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