第244話:ユイナおねえちゃんとチューショット
急に我が家に来訪された、ユイナおねえちゃん。
でっかいバイクで、登場。
今は、シャワーを浴びていらっしゃいます。
母さんが帰って来るまでは、あたしがお相手。
晩御飯にはまだ時間も早いので。
軽くお茶とお茶うけをご用意。
して、待っていたら。
「バスタオル借りたよー」
と。
カラスの行水? みたく。
女性らしからぬ? 早さで。
バスルームから、出て来た。
のは、良いんだけど!?
「ちょっと、おねえちゃん! なんて恰好!?」
いや、もう、ビックリ箱かな?
バスタオルを身体に巻いただけの、おねえちゃん。
「いやー、替えの下着持ってくの、忘れちゃった」
やっぱり『タオルだけかーい』って、突っ込んでおくべきだったか。
「んもー、だらしないなー。ちゃっちゃと着替えてよ」
「んー? 何なに、おねーちゃんの裸に興奮する?」
「し・ま・せ・ん!」
「ほんとかなぁ?」
んもぉ。
「あたしも着替えて来るから、おねえちゃんもさっさと着替えて」
ここは、逃げよう。
「あたし、か……しの女の制服、よろしくねー」
そう。
おねえちゃんが、家に来た目的。
あたしに会う、と言うより、あたしの制服姿を見たいから、だとか。
入学して、しの女の女子の制服で通学してるって話は、してあったし。
写真とかも、送った(送らされた)から。
知ってはいるんだけど。
やっぱり、
わざわざ、遠くのこの家まで。
バイクで何時間、かかったのやら。
元気なおねえちゃん、だ。
大学院生とは言え、まだ学生さん。
すでに成人して、そこそこのお歳では、あるも。
まだまだ元気で若い、と言える。
だからこその、おねえちゃん。
しの女の制服、スカートバージョンに、お着換え。
ウィッグは、無しで。
一年で少し伸びた地毛を、少し整えて。
軽く、お肌のケアも、しなおして。
リビングに戻る。
「着替え終わった?」
「おぉおおおおお」
着替え終わって、リビングのソファで、荷物の整理をしていたらしい、ユイナおねえちゃん。
振り返って、あたしを見るなり。
「すごいすごいかわいいかわいい何これ何これ本物すごー」
写真で見てたでしょ、と言いたいけど。
入学して、わりとすぐくらいの時の写真、だったからなぁ。
あの頃に比べると、ね。
ぱしゃぱしゃ。
いきなり、写真に撮られる。
仕方ない、か。
ひとしきり、写真を撮ってたかと思えば。
あたしの肩を抱いて。
「ちゅーしょっと、ちゅーしょっと」
「ちゅーじゃないでしょ、ツーショットでしょ」
「そうとも言う!」
「そうとしか、言いませんよ」
んもー。
放っておいたら、本当にチューとか、しかねないからな、この姉……。
「って、言うか、並んで撮るなら母さんが帰って来てから母さんに撮ってもらえば」
「それは、それ。これは、これ。はい、撮るよー」
って。
チューじゃないけど、ほっぺをぴったり、くっつけて。
ぱしゃり。
「あぁ、
そこまで……?
いや、まぁ、可愛がってくれてるのはわかるから。
嬉しくは、あるけど、ね。
ちょっと、ね。
恥ずかしい……。
誰にも見られてないのが、救い。
こんなとこ、先輩たちや先生に見られた日には。
ひぃ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます