第220話:真綾宅に居候できるかできないか



 火事で焼け出された、エリ先生。


 ホテル住まいは良いのだけど、いかんせん、学校から遠い、とのことで。


「真綾ちゃんの家に居候、できないかなー」


 って。


「生徒の家に教師が居候って」

「さすがにそれはマズいだろー」

「しかも、忘れてるかもしれませんけれど、真綾さんは男子ですのよ?」


 あたし自身と言うよりも。


 三先輩の、総ツッコミ。


「いやぁ、こっそりと、ダメ?」


 その身長で、さらに、しの女の制服で上目遣いは。


 反則反則。


「こっそりって、場所が場所だから、すぐにバレるよ」


 なんてったって、玄関開けたら五秒で正門。


 正門出たら、五秒で玄関。


 短時間とは、言え。


 誰かに見られたら、一発アウト。


「大丈夫よ、普段もたまに真綾ちゃんの家に出入りしてるし」


 あ。


「そう言われてみれば」

「確かに……?」

「でもそれって、大体はわたくしたちも一緒じゃありませんこと?」


 あー。


「たまに先生ひとりで行く事もあるよー」


 そうでしたね……。


 よくよく考えてみたら。


 なんか、色々やばくないですか?


 でも。


 なんか今までは特に問題にはなっていなかったのも、あり。


 たまたま、見られてなかったか?


 はたまた、見られてても、見過ごされてたか、見逃されてたか。


 普通に考えたら。


 やべくないっすか?


「立ち寄るのと住み込むのでは全く意味が違いますわよ」


 エリ先生の事を、一番心配していた筈のぱっつん子先輩が。


 一番、猛反対。


「あーでも、先生がまーやンに住むなら、ウチも住みたいな」

「そうね、先生と真綾ちゃんが間違いを犯さないように見張り役で」


 金髪子先輩とおさげ子先輩が、何やら不穏な話を始める。


 それをぱっつん子先輩が。


「あなたたちまで変な事言い出すんじゃありませんわよ、まったくどいつもこいつも……」


 うーん。


 エリ先生の境遇を考えたら、ねぇ。


 確かに、家には使ってない部屋が、余っていると言えば、余ってはいるんで、不可能では無いけど……。


「この子達の話は置いておいて、ねー、どうかな?」


 半ば冗談かと思いきや。


 かなり本気のご様子の、先生。


 こちらもある程度、本気で返さないと、いけない、かな?


「あたしも、色々問題はあると思うし、母の許可が必要だし、母にも一応、訊いては見ますけど……」


 一応。


 母さんも分別のある、社会人。


 それなりの結論として、ノーと言ってくれるに、違いない。


「それと、もし、母がオッケーでも、やっぱり校長先生とか、学校にも許可、もらわないといけないと思います、よ」


「ダヨネー」


 ぐったり。


 ぐったりしていらっしゃるところ、申し訳ないですが。


「通す筋は通して、じゃないと、後々、大変な事になりそうですし、ね?」


 念のため、トドメを刺しておく。


「ワカッター。グッスン」


 淡い期待と濃厚な絶望の、色をまとった、エリ先生。


 さすがにこればかりは、仕方がございません。


 そこへ。


「真綾さん、先生の監視役として、わたくしが居候することも確認お願いしますわ」


 ぱっつん子先輩の、追撃?


 さらに加えて。


「ちょいまてサクラ、さっきと言ってる事が違うぞ? それならウチもウチも」

「もちろんわたしも参戦するよ?」


 金髪子先輩とおさげ子先輩も、連撃。


 こ、この人達は……。


「さすがに四人は部屋も無いし、無理ですって。二部屋くらいならなんとかなりそうですけど……」


「二部屋なら、二人ペアで丁度よいかもですわね!」


 おーい。




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