第198話:なんかソレっぽく仕上がりましたよ森本くん
「うわー、なんかソレっぽく仕上がってるしー」
お化粧の、仕上げをしてもらおうと。
ミツキさんに入室してもらったら。
「かなり強引だけど、ね。ワイシャツとか男物だし」
「やー、なんか、彼シャツっぽくて、これはコレで」
うん、それはあたしも、思った。
彼の彼シャツって。
おげぇ?
「んじゃ、ちゃちゃっとやっつけちゃうねー」
「お、おぅ、お手柔らかに、な?」
ちょっと不安そうな、森本くんは、でも。
おとなしく、されるが、まま。
結局。
ママのスカートだけが、女子要素?
だけど、お化粧と。
「ほい、こんなもんかなー。後はウィッグだね」
「はい、これ」
先ずは、ネット。
ウィッグを着ける前に、元の地毛を固定する網目の帽子みたいなやつ。
これを頭から首へ一度通して、頭の方に髪をひとまとめに、して。
その上から、ウィッグを。
ウィッグは、あたしの。
サイズフリーだから、アジャスターを少し広げて。
一度頭にのせて、サイズを確認して。
再度、アジャスターを少し狭くして。
もう一度、頭部へ。
「ん、こんなものかな? キツくない?」
「あぁ、うん、大丈夫、だけど……」
鏡に映る自分の、姿を観て。
思うところは、あるだろう、ね。
「なんだ、なんかイイ感じじゃん、なんでー」
そりゃぁ。
あの山田くんの仕上がりと比べたら、ね?
「ちきしょー、もっと面白く仕上がると思ってたのにー」
ミツキさん、笑顔で、不服そうなセリフ。
言葉とは、裏腹に、楽しそうに。
森本君の頭、ウィッグをブラシで梳かして、髪型を整えて。
「ほい、こんなもん、かなー? へい、すたんだっぷ」
何故、突然の、英語?
簡単な英語だから。
皆、理解。
もちろん、森本君も。
腰掛けていた椅子から立ち上がって、振り返って。
「どぉ、かな?」
すらりと、背が高いのもあって。
モデルさん? っぽさも、無くは、無い。
お胸の大きさと、肩幅が少しアンバランスではあるけど。
コートの下のボタンを留めれば。
スカートの腰回りが隠れて。
左右に広がったコートの中は。
同じように左右に広げた青いワイシャツの、下。
黒のキャミソール。
それを、押し上げる、膨らみ。
セミロングのウィッグに、うっすらお化粧。
コートは森本君自身の、男性用、とは言え。
ジェンダーフリーなデザインだし。
あと、足元はお手軽に、グレーのハイソックスで誤魔化して。
ん、それが、また。
「おばちゃん?」
「うん。おばさんっぽい、ね」
「まぁ、お母さんのスカートらしいしね」
「うぅ、こうなるのかぁ……」
森本くん本人は、頭部以外の全容は、まだ見れてないから。
どうなってるかは、自分の視点からの範囲。
「てか、足元が見えん……」
そりゃぁ、そんなにでっかい障害物があれば、ね。
「あはは。じゃあお披露目、行こうかー。リビングに姿見も用意してあるし、そこでじっくり見れるよー」
ミツキさん先導で。
ぞろぞろっと、リビングへ戻る。
「お、出来たか」
「え?」
「おぃ、なんだそれ」
驚きの、待っていた男子の面々。
特に、山田くんが。
「なんか、それっぽいんだけどー、どういう事だーっ」
先行して、ミツキさんにヤられていた、山田くん。
森本くんの仕上がりに。
ちょっと憤慨?
「お、おぅ……これが……」
森本君自身も、ちょっと恥ずかしそうに。
リビングに用意してあった姿見に、自身の姿を。
左右に、身体の角度を変えて、映してみて。
ちょっと、複雑な、表情。
そりゃぁ、まぁ、そうだよ、ね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます