第193話:女装男子の女子校生活の日常
先輩たちと先生との新年会は、無難に済ませて。
山田くんとミツキさんに端を発する、『女装お試し会』は。
結局、個別にやるとスケジュール調整も面倒、って、事で。
全員まとめてやる方向で。
幸い、一月は月曜祝日があるので、そこで。
各自、当日までに、家族や親類、知人から女性用の衣装を借りて来てもらうって事に。
なったらしい。
あたしは、オブザーバーか、アドバイザー的な感じで強制参加。
とほほ。
なので、当日までは、特にやることも無く。
普段の、日常の、女子校生活。
いやぁ、こうやってみると。
普通じゃない、非日常感も、あるんだけど、ね。
お昼休み。
最初の頃は、お昼ごはんとか、身支度とかで自宅に帰ってたんだけど。
最近は、もう、家に帰る方が面倒になってきたんで。
学校で過ごすようにしてたりする。
お弁当も作って、持って来て、教室で。
二学期に、体育大会とか、文化芸術祭とか、クラスの子たちとも、ある程度仲良くなれたので。
お昼ご飯も、クラスメイトと一緒に食べるようにも。
まぁ、ある種の『マスコット』的な存在として、あちこちから声をかけれらるのが。
嬉しいような、恥ずかしいような面もあるんだけど。
嫌悪されてる訳ではないのが、せめてもの救いであり、幸せ。
そんな訳で、本日も。
例の、YUKIブランドの会員さんを含む面々と。
お昼のお弁当。
「お弁当も自分で作ってるなんて、女子力高いわよねぇ」
「そうかな?」
あたしは中学の頃から自分で作ってた、けど。
「自分でお弁当作ってる子なんてひと握りくらいしか居ないわよ」
「そ、そうなんだ……」
お弁当自体を持って来ている子は、そこそこ居るみたいだけど。
誰が作ってるか、まではわからないけど、そういう事、なのね。母親とか、お姉さんとか、かな?
「そのお弁当も、すっごく美味しそうだし」
「モデルもやってるし、女の子の理想だよねー」
ああ……。
クリスマスの時。
ルミさんと話した内容を、思い出す。
あたしは。
女の子の理想像を、模してる。
だから、周りの女の子から見ても、理想的に、見えちゃう。
女の子の方も、男子であるところの、あたしに遠慮とか、羞恥があって。
その内面や本質、本音を晒すような事が、無い。
だから、あたしが模している女の子は。
女の子の、内面や、本質、と、言った部分には。
まだ、触れられていないのかも、しれない。
クラスメイトと話せるようになって。
先輩たちや先生との違いが、見えて来たところも、ある、かも?
三先輩と先生は、もうすでに、色々と。
男子に見せちゃいけないような姿や、本音とかを、見せてくれている部分も、ある。
そりゃあ、もちろん、全てって訳じゃぁ、ないけれど。
だから、かな。
あたしも。
本音や、本質を。
さらけ出して行く必要が、あるのかも、しれない。
なんて。
思いつつ。
「ごちそうさま、でした」
お弁当、終了。
「ごちそうさまー。食べ方もお上品よねー」
「うんうん、仕草も可愛いねー」
「見習わなくちゃ、ね」
なんて。
言ってもらえるのは、嬉しいけど。
「ちょっとお手洗いに……お化粧直し、してくる、ね」
わざと、そう言って。
「あ、はーい。いってらっしゃーい」
って、見送られて。
遠い遠い、一階の隅っこのトイレに向かう。
これも、学校生活の、日常のルーティン。
これは、逆に。
女の子とは、ちょっと違う。
そうだ。
女装チャレンジの連中にも、このあたりフォローしておいてあげないと、なぁ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます