第191話:山田くんの女装写真、からのぉ……



 ナニコレ!?


 食事中に見るモノでは、なかった感。


 食べてたカレー、噴き出しかけちゃったわよ。


 どうしてくれんのよ。


 山田くぅううううううううん!



 ミツキさんから送られてきたメッセージに、添付されてた、画像。


 山田くんの、姿。



 雪人さんのショップで、女装グッズを買ってった、って、聞いたから。


 イヤな予感は、してたけど、さ。


 いや。


 ここまでとわ。


 失礼だけど。


 似合ってないにも、保土ヶ谷ホドガヤ


 あぁ、横浜方面?


 って、なんか突然、夏休みに会った母さんの知り合いの話を思い出してしまう、程。


「もぉ、お行儀悪いわよ、食事中にスマホ、ダメ」


 そんなお説教の、母さんに。


 その携帯端末の画面を。


 すっと。


 差し出すと。


「ぶぅーーーーーっ」


 母さん、お行儀悪い、ですわよー。


「あはははは」


「げほっ、げほっ、何、それっ」


 いや、これ、ミツキさん。


 完全に、山田くんで、遊んでます、ね。


『ぴこんっ』


 あ。


 追加のメッセージ。


 山田くんから。


『消せえええええええええええ今すぐ消せミツキが送った画像すぐ消しやがってくださいおねがいしますたのむいやああああ』


 混乱、してますね。


 混沌。


 カオス。


「お友達、よね? 山田くん、かな?」


 ナプキンでおクチ元を、ふきふき母さん。


「うん」


真綾まあやの、真似でもしようとしてるの、かしら?」


「なんか彼女さんにやられたみたい。今日、雪人さんのショップでグッズ買ったって言ってたから」


「なるほど……山田くんの彼女、ね」


「あ、そうそう。彼女できたんだって」


「ほぅほぅ……」


 夕食は、ほぼ食べ終わってた、ので。


 母さんと。


 食後の、お茶お茶しながら。


 そんな話で盛り上がり。



「でも、それだけのためにグッズ買っちゃうなんて、お金持ち?」


「そうでも無いと思うけどねぇ。お正月でお年玉持ってた?」


「あぁ、でも、無駄遣いよねぇ」


「うん。あたしみたく必要がある訳じゃないし、ねぇ」


 一応、メッセージも返しておこう。


 ミツキさんに。


「ミツキ、ヒドイ。山田くんで遊んであげないでー」


『ここまで似合わないとは思わなんだ。まあや見たからそれくらいできると思ったのに』


 そう言われると、ちょっと、照れ。



 それから、山田くんに。


「画像は保存しておいたー。グルチャに貼ろうか?」


『ヤメテくれーっ!』


 あはは。


 あたしも遊んじゃってる?


「グッズも買っちゃったんだし、またやる?」


『やらねーっ。つか、買ったのミツキだし』


 母さん、くるっとテーブルを回って。


 あたしの隣に、すとん。


 それから、端末の画面を覗き込んで。


「もったいないわよね、他に使い道ないし」


 見られても、別に困らないし、一緒に。


「そうだ、他の子にも貸してあげれば?」


 母さん、ナイス!?


「川村くんとかに貸し出して女装させてみたら?」


 って、山田くんにメッセージを送ってみると。


『それだっ!』


 お。乗って来た。


「と、すると、やっぱりグルチャに写真を載せる必要が」


『それはやめてー』


 そんな、こんな。


 グルチャには。


 『山田くんの彼女に会おう!』をテーマに。


 ひとりづつ、山田くん家訪問の、日程スケジュール調整。


 裏では、ミツキさんにも状況説明して。


『よしっ腕を振るうぞぉっ!』


 やる気も満々。


 ふふ。


「ふふ。写真撮ったら、お母さんにも見せて、ねー」


 あい了解です、お母さまっ。




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