第148話:えらいことになってます



 ある意味。


 重量ヘビー級の企画イベント


 女性用下着屋さんでの、お買い物。


 最初、レイちゃんとふたり、お店の前で躊躇ちゅうちょして。


 先輩たちと先生に同行してもらって。


 気軽に入れたのは、入れたけど。


 お会計の時には、最初の感覚が戻って、ちょっと冷や汗。


 最後の最後。


、お待ちしています、ね』


 店員さんのひと言に、救われた思い。


 それから。


 あたしが下着や女装について勉強したネットの記事を、レイちゃんに紹介。


 レイちゃんもそれを読んで、観て、勉強する! って。


 そんなやりとりを、メッセージアプリを使ってやってたら。


 どこから聞きつけたのか?


 いや、下着屋さんでやたら下着の知識を披露したとか。


 あたしが色々と語っちゃった、せい?


 先輩たちが、いつもの八時間目で。


「真綾の下着講座~」

「わー、ぱちぱち、ぱちぱち」

「よろしくお願いします、わ」


 え?


「なんで?」


 今日は、女子モードのスカートな先輩方。


 その女子が男子に?


「だって、ウチらよりよっぽど詳しそうだもん」

「うんうん、いつの間に、って感じだけど」

「ですわ、ですわ」

「先生も教えて欲しい~」


 貴女方あなたがた……。


「ねぇ、ねぇ、ナイトブラって寝る時用のブラだよね? 普通のブラとどう違うのか、教えてよ」


 はぁ……?


 あぁ……。


 みんな知ってるモノだと思ってたけど。


 意外と。


 女性でも、下着に頓着してないコトもある、のか……。


「えっと、じゃあ、スポブラは皆さんご存知ですよね?」


 からの。


 スポブラと、少し似た形状だけど、その用途が全く違う事。

 下着屋さんで、レイちゃんにも少し説明した内容を。

 かいつまんで。


 ざっくり、普通のブラは昼、立ってるか、座ってる状態で効果があるようになってるけど。


 夜、寝る時には、身体の向きが全然違ってくるので、ブラもその向きの変化にあわせてサポートできるものが必要に、なる、とか。


 ホックレスでフラットなので、背中に当たるものが無い、とか。


 ノーブラだと、寝ているときの身体の動きで、変な方向に過重がかかっちゃう、とか。


 とか、とか、ご説明。


「あるのは知ってたけど、なるほど、そういう効果があるのね」


 おさげ子先輩のご感想。


「もっと早く教えてもらいたかった、ですわ……」


 ぱっつん子先輩は、なるほど、一番必要そうだし、ね。


「ウチと先生にはあんまり関係なさそうな気もしなくはないなー」


 うん。金髪子先輩と、エリ先生については、何も言うまい語るまい。


 空気の読める子、真綾ちゃん。


「まぁ、もちろん、全部、ネットの受け売り、ですけどね」


 そりゃそうだ。


 ナイトブラも使ってはいるけど。


 実際の中身が偽物なんだし。


 その効能の実態を、実体験することは、できない。


 だから、知識として、知っているだけに過ぎない。



 女子校で、女子の中にひとり。


 男子だけど、女子として。


 女の子になりきるために、女の子を模すために。


 できる限りの知識を、と。


 お母さんにもいろいろ相談しながら。


 ほぼ、独学で。


 学んだこと。


 それがまた。


 どこから聞きつけられたのか?


 先輩たちだけでなく。


 他の生徒たちにまで知れ渡ってしまって。


「真綾の下着講座、はじめますよー。園田さん、よろしくー」


 まさかの。


 八時間目、拡大版!?






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