第130話:あたしのクラスの出し物は
『人物画(鉛筆画)』
は?
スクリーンにドアップにされて映し出された、あたしが引いた四角いカード。
手元のカードを見ると、白紙。
あぁ、裏側か。
ひっくり返して再確認してみるけど。
「はぁい! 一年一組は鉛筆で人物画を描いて展示してくださいねっ!」
なんじゃ、そりゃ?
なんとも、これは……。
良いの?
悪いの?
どっち?
会場のどよめきも、おそらく、そんな意味の、どよめき?
「園田さんっ! いや、ほんと、ウワサ通りとっても可愛いいですねっ! お疲れ様、ありがとうございましたぁ! でわでわ、次のクラスを選びますよー」
なんかクジの結果もそうだけど。
テンション高めの生徒会長さんに圧倒されて。
ぽかん、と、していると。
案内係? の、生徒会役員さんに引っ張られて。
壇上から、退場。
うぅ。
なんとも言えない気分のまま。
自分のクラスに戻ろうと移動してたら。
(あの子、本当に男の子なの?)
(ぜんぜん、そうは見えない、よね……)
(階段を昇り降りするときにスカート押さえるとか、本物の女の子みたいよね)
(うん、歩き方とか、クジ引くときの仕草とか、どこが男の子? って感じ)
ひそひそ、と、聞こえてくる、会話。
(でも、のどぼとけははっきりわかるよ)
(あ、ほんとだ)
そして、自分のクラスの列の、自分の位置へと。
その移動中に、クラスのみんなが。
ぽんぽん、と、肩とか、背中を叩きながら。
「お疲れ様、園田さん」
「お疲れー、研究発表とかでなくてよかったよー」
「ナイス、園田さん」
ねぎらってくれて。
「えへへ、ありがと」
ちょっと、照れつつ。
自分のポジションへ、戻って、ひと息。
はふぅ。
その間にも。
壇上ではくじ引きが進んで。
生徒会長が引いたクジで選ばれた学年、クラスの順に、出し物のクジが引かれて。
各クラスの出し物が、
見てたら。
出し物自体は。
あたしが引いた『人物画(鉛筆画)』と同じような、『風景画(水彩画)』とか。
『風景写真』とか『文芸冊子』。
このあたりは、『芸術』系かな?
『研究レポート・市内の祭り』やら『研究レポート・県内の観光地』とか、研究レポートの
なるほど。
『文化芸術祭』
どこが『
「さぁ、これで全クラスの出し物が決まったわよー!」
スクリーンには、学年とクラスのマトリクスに、それぞれのカードが貼り付けられた表が映し出されてる。
その、スクリーンの、前。
生徒会長が。
「残りの時間は自分たちのクラスに戻って、出し物について話し合ってね!」
宣言。
そして。
「んじゃ、散開っ!」
の一声で。
ぞろぞろ、と、講堂を出る生徒たち。
なんだけど。
一斉に、各自がバラバラに、ではなくて。
退場の、ルールに従って。
一年四組から、順番に。
講堂からの距離に応じて、って感じかな?
あたしの一年一組は、講堂側にあるので、一年の最後。
ただ、一階から四階の移動もあるので、二年、三年よりは、先に。
こういったルールは、入学式の時に教えられたっけな。
講堂を出て、階段を昇って、教室に戻る。
それにしても。
『人物画(鉛筆画)』とは。
楽なのか、面倒なのか?
超絶、微妙……。
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