第95話:次回の内容を協議しました結果



 若林くん宅からの帰路。


 先輩三名と幼女風教師。


 はウチと山田くん。


 最寄り駅から電車の先輩方とエリ先生を駅までお見送り、なんだけど、実は単に通り道。


 道中。


「こうなって来たらさー」


 金髪子先輩が。


「俺っちの口調も男子風にしたくなるよなー」

「それもそうかな?」


 おさげ子先輩は、そもそも中性的な口調。

 ウチがそれを真似てる経緯もあり。


「うむ。やるからにはそれくらいやった方がよろしく……じゃなくて、やった方がいいと思う、ぜ?」


 ぱっつん子先輩の場合、かなり難しいんじゃないでしょうか?


 そもそも。


「男性と会う機会も少ないだろうし、男の喋り方とかもよくわからないんじゃないです?」


 一応、突っ込んでみるけど。


「生身の男性とはほとんど会わないけどでもドラマとかアニメとかで一応は把握してるよー」


 金髪子先輩は男らしいと言うか、男臭い喋り方ではなく、少年風、かな?。


「一応、ボクは父親とも話すしね」


 一応ですか、おさげ子先輩……。


「オレのところも、そんな感じかな?」


 男子バージョンの一人称は、金髪子先輩が『俺っち』で、おさげ子先輩が『ボク』、ぱっつん子先輩が『オレ』か。


「洋服とかウィッグはいつでも買いに行けるとして、そうすると次回は『男子口調』の練習って事にする?」


「いいね」

「いいんじゃない?」

「ああ、いいと思う、ぜ?」


 エリ先生の提案に、異議なし、三先輩。


 そこで。


「じゃあ、ウチは男子バージョンで講師って事でよいです?」


 などと進言してみたものの。


「ダメに決まってんじゃん」

「ダメだな」

「制服じゃなくて私服でいいよ、女子の私服、な?」


 総異議あり、三先輩。


「やっぱり、園田さんも女子言葉を覚えましょう! と、言う訳で、次回は女の子たちの男子言葉訓練に加えて園田さんの女子言葉訓練は先生が先生します」


 と、エリ先生。


 先生が、先生、って……。


 いや、正しいんだろうけど、そうじゃない気もしなくは、ない?


 もともと、ウチに女の話言葉を推奨してたのもエリ先生、だしなぁ。


「えっと、次は川村か……川村ひとりじゃ大変そうだから、オレも参加しようか?」


 山田くんは、申し出るのに加えて。


「いや、三人にひとりづつとすると、もうひとり居た方がいいな……森本か若林も呼ぼう」


 と、結局。


 男子ひとりづつ、の流れは寸断され。

 三先輩の苦手意識もずいぶん薄れたのか。


「いいねー」

「それで行こう」

「頼めるかな?」


 単なるノリのような気もしなくはないが。


 克服できるのなら、それに越した事はなかろう、て。


 次回。


 洋服買い出しの予定からすっかり変更で。


 男子言葉学習。


 しかも、ウチの女言葉も再燃?



 そして、それは、さらに。



 も加わって、ある種の混沌を極める事になるとは。


 この時はまだ、つゆほどに思いもよらず。




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