第93話:男装女子の仮衣装は決まるがしかし


 男子パンツの件は、いったん棚上げして。


 当初の、本来の目的でもある、先輩方の洋服選び。


 あーだこーだ。


 外野の意見も交えつつ。


 ご本人たちのお気に召すものをチョイスして、試着を繰り返す。


 もちろん、その場で、なんて事はなく。


 いや、金髪子先輩が、その場で着替えようとしたのを、おさげ子先輩とぱっつん子先輩が全力で、阻止。


 先に矯正具を装着してたので、大事には至らなかったけど。


 先に下を脱いでたらえらい事になってた、かも?


 そんなこんな。


 若林くん宅の脱衣所をお借りして、お着換えまくって。


 最終的に、お着換えを済ませた先輩方。



「うぅ、やっぱりウチに合うサイズだと、こういうのしか無いかー」


 金髪子先輩が、若干うなだれている、ので。


「ま、まぁ、でもパーカーのフードのおかげで髪が隠れて男の子感が強まってていんじゃないですか?」


 少し大きめの無地の白いTシャツに、うぐいす色のハーフパンツの上から大きめの青いパーカー。


 あ。ハーフパンツって、パンツじゃなくて、半ズボンの事、ね?


 色んな意味で、フォローを入れておく。


「むー、この時期にパーカーでフード被るとか暑くてやっとれんわー」


 あはは。パーカー自体は薄手なので、そんなに暑くはないと思うけど。


 見た目的には『暑苦し』そう、かも?



 すると、山田くんが。


「中原先輩は、何て言うか、んー……委員長風?」


 おさげ子先輩への、評。


 女子バージョンでも、おさげに眼鏡でモロ委員長風なんだから、男装しても、ね。


 なので、フォローに困るんですけど……。


 ただ、チャームポイントでもあり、トレードマークでもおさげは後ろでひと束にして、背中でジャケットの中へ。


 シャツは少し大きめのワイシャツに、ボトムスはデニム。


 デニムはともかく、ワイシャツが眼鏡で委員長風な雰囲気へ誘導している感じかしら?


「わたしの場合は眼鏡も男子風にした方がもっといいかもしれないわね……」


 ぱっつん子先輩は、姿見に映した自身を評しながら、そんな事もおっしゃってますが。


 そこまで、します?


 とか、考えてたら、今度は若林くんが。


「大里先輩は大学生風の感じが出てますね」


 おそらく、山田くんのお兄さんの服をチョイスしたのだろう、ぱっつん子先輩の仕上がりを評する。


 もともと、にならないよう、ぶかぶか気味のボトムスやトップスを用意してもらっていた事もあり、内部に装着した矯正具との効果もあいまって。


 身体の方は、わりとしっかり男子してる感もあるけど。


 ただ、ぱっつん子先輩には、致命的な欠点が……。


 女子としては魅力的な特徴が、男子として見た場合に。


「うーん、ここまで来ると、やっぱり問題は……」


 そう。


 エリ先生もうなる、問題点。


 金髪子先輩はパーカーのフードで。

 おさげ子先輩はジャケットに隠してるけど。

 ぱっつん子先輩の……。


「髪型、よ、ねぇ……」


 うん、やっぱり、ソコだよねぇ……。




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