第79話:ひとり目は森本くん
夏休みも、もう、後半。
お盆の休みは、皆さん色々家庭の用事もあり、お盆明け。
『八時間目』の一環として。
ウチの中学時代の男友達を、先輩方に、紹介する段取りで。
四人全員、と、なると、先輩方や先生が気おくれしてしまう、ってコトで。
ひとりづつ、四回の、場。
今日は、その第一回目。
最初の男友達は。
「うぅ、なんか緊張するな」
先輩方に先んじて、ウチの家で待機中の、森本くん。
「てか、なんでオレがトップバッターなん?」
「んー、四人の中で一番、まとも?」
「あぁ……」
そう。山田くんと若林くんは。
ウチに『結婚して』とか、ノリが良すぎで。
どちらかと言うとボケ担当。
森本くんと川村くんは、ツッコミ担当的な、立ち位置。
川村くんは少しクセが強い感があるので、消去方で、森本くんって感じ?
森本くん自身にもその認識はあるらしく、納得の表情。
ぴこん。
お? メッセージ?
『もうすぐ着くよー暑ぃいい』
『わかりました玄関あいてるのでそのまま入って来て下さい麦茶用意しておきます』
『ありありおねー』
「もう来るって」
そう言って立ち上がり、麦茶を用意すべくキッチンへ向かう途中。
ちらりと見た森本くんは、と、言えば。
シャツの襟や袖口、それに前髪やらに手を当てて、整えようとしてる。
ぴんぽーん。
一応、玄関のインターフォンのベルが鳴って。
続けて。
「来たよー」
「お邪魔します」
「失礼致します」
「おじゃまさまー」
金髪子先輩、おさげ子先輩、ぱっつん子先輩に、エリ先生。
エリ先生は学校でよく見かけるスーツスタイル。
先輩方は、いつもの『しの女』の、制服。
ちなみに、ウチも、森本くんも、制服。
一応、『八時間目』の一環なので。
「いらっしゃい。暑いところ、お疲れ様です。はい、どうぞ」
ささっと席に着く、先生と、先輩方の前。
麦茶を差し出し、テーブルの真ん中にはポットも置いて。
「ぐびぐびぷはーっ! 生き返るー」
豪快、金髪子先輩。
「駅から歩いただけで、うだっちゃうわね」
ハンドタオルで汗を拭きふき、おさげ子先輩。
「ええ、まったく、とんでもねぇ暑さ、ですわよね……」
ぱっつん子先輩もお上品? に、ハンカチで首筋をポンポン。
「研修しんどかったよー園田さーん癒してぇええ」
エリ先生……は、とりあえず、放置。
そして森本くんは、と言うと。
あはは。
硬直してる、ね。
そりゃまあ、ずらっと、こんな可愛らしい、美人な女性を前にすれば。
初心な男子なら、ね?
とりあえず。
「えっと、みなさん、今日は、わざわざ集まってもらってありがとうございます」
ウチが主催? って、立ち位置なこともあって。
場を進めなきゃ。
「いえいえー、わたし達のためでもあるからねー」
そう、どちらかと言うと、森本くんに先輩方を紹介すると言うよりも。
先輩方が『男に慣れる』訓練、的な。
まぁ、森本くん的にも、女性と知り合えると言うメリットも、あり。
さて。
ここからどうしたらよいのでしょうか。
何も考えて、なかった……。
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