第69話:気を取り直してマーヤのお料理教室
八時間目の合宿。
ウチを女らしくする? じゃなくて、三先輩とエリ先生が、男性に慣れるようにする、課外授業。
のハズ、だったんだが。
何故か、先輩方とエリ先生に料理を教える合宿。
母さんも、一緒。
母さんと、一緒。
金髪子先輩宅のお手伝いさん、シズさんも加わって。
わちゃわちゃ、と。
昨日、それに今朝と、ちょっとしたトラブル的な事もあったりはしたが。
合宿二日目の、今日は。
「なんだ、みんな上手いじゃないか……」
そう。
おさげ子先輩は、見たまま、器用に。
金髪子先輩は、雑なように見えて、きっちり。
逆に、ぱっつん子先輩は、器用に見えて、恐々、ゆっくり、丁寧に。
エリ先生は……。
「先生、包丁が斜めになってますよ。もっとまっすぐ、まな板と垂直になるように」
「あ、はい、園田先生!」
違う、でしょ?
いや、違わない、のか?
「うーん、身体が斜めになって、そのまま包丁も斜めになってるかな……キッチンが高いから、バランス悪いか……」
きょろきょろ、と、探しても、手頃な探し物はそこらには、無く。
「シズさん、なんか踏み台になるもの、無いですかね?」
「えっと、それでしたら、確か……少々、お待ちを」
この別荘の持ち主でもある、金髪子先輩宅のお手伝いさん。
この別荘の事についてもある程度は把握されているのだろう。
どこからか。
「こちらはいかがでしょう?」
と、持って来てくれたのは、レンガブロック数個。
「下にタオルを引いて、その上にこれを並べて……」
おぉ。
「先生、この上に乗ってやってみて下さい」
「おぉ……」
ちょっと複雑な、表情の、エリ先生。
まぁ、身長が低い事を気にしてるみたいだからねぇ。
でも、仕方ない。
それでも、レンガの上に乗っかって、調理再開。
ニンジンを切る包丁が。
「うんうん、まっすぐになってますね」
思わず、ヨシヨシ、と、言って、頭を撫でてしまいそうになるけど、そこは堪えて。
ほぼ同じ背丈の金髪子先輩は、器用にまっすぐ切れてるんだよなぁ。
ここらへんは、性格と言うか、性能?
「じゃあ、具材のカットが終わったら、煮込んで行きますね、まずは……」
そんな感じで、お料理教室。
ウチと母さん、それにシズさんが手とり、足とり。
いや、足は関係ないけど?
広いキッチンは、コンロも広く使えて、ふたりづつペアで。
金髪子先輩とエリ先生、おさげ子先輩とぱっつん子先輩。
身長の差があまり大きくならないように?
とか言ったら怒られそうかもだけど。
調味料や水量を、わりと目分量適当でやっている金髪子先輩エリ先生チーム。
きっちりと、レシピに従って分量を量りつつ進めるおさげ子先輩とぱっつん子先輩。
そして、完成する料理。
朝、起きるのが少し遅かったこともあって、お昼時からは少しズレた時刻ではあるものの。
「いただきまーす」
揃って、お昼ご飯。
ふたチーム、それぞれに、実食。
「うっ、こっちの方がおいしい……」
「そっちもおいしいよ? 味はちょっと違ってるけどー」
そう。
ふたチームとも。
ウチの味、とは、少ぉし、違うものの。
不味い、と、言う訳ではなく、完成度は、高い。
「でもやっぱり園田さん
「うーん、でも、これはこれで?」
うん、悪くないと思うよ?
若干の味付けの差は、あるものの。
「いいんじゃないですか? うちの味は、うちの味。皆さんの味は、皆さんの味ってことで。それぞれ違ってて、いいと思いますよ?」
母さんの言う通り。
「うん、うん、美味しいから、いいんじゃないですか?」
ウチも、同意見。
「そーだね!」
「ですわね!」
「うんうん!」
「いや、でも、もっと……もう少し……」
おさげ子先輩だけ、ちょっと納得しきれてないっぽいけど。
いや、ってゆーか、ね。
普段、料理しないとか言ってたけど。
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