第67話:鳥の鳴き声ではじまる二日目



 朝。


 妙な鳥の鳴き声で目が覚める。


 チュンチュン、の、スズメでは、無い。


 なんだろう?


 聞き慣れない、鳥の鳴き声。



 カエル?


 あ。


 そう言えば、昨日も聞こえてたかも?



 それはいいんだけど。


 なんか身体が重い。


 目を開けると、まぶしい光。


 カーテンの隙間から入り込んできてるみたい。


 おまけに、電気も点けっぱなしだったらしい。


 そして。


「先輩……」


 それに、先生も。


 結局、ウチの部屋でそのまま寝落ちしたんかいっ。



 それはいいんだけど。


 ぱっつん子先輩が。


 ウチのおなかを枕にスヤスヤ。



 これって、めちゃくちゃマズくね?


 いいのか?


 よかったのか?



 まぁ。


 何もなかった。


 よな?


 金髪子先輩とおさげ子先輩、それにエリ先生はそこらへんに転がってる。


 あられもない、と、言う程でもない姿。


 せいぜいパジャマの肩が少しはだけていたりするだけで。


 ウチもキャミソールのストラップが片方がズレ落ちてるくらいか。


 見てはいけないような状態にはなっていない。


 あ。


 まるまってるおさげ子先輩の青いショーパンの後ろが少しズレて、見えちゃいけないうっすらピンク色のモノが見えたけど、見なかった事にしよう。


 いや、まあ。


 存在自体、見ちゃいけない部類のモノ、って気もしなくはないが。


 ぱっつん子先輩の少し乱れたぱっつん頭を、そぉっと支えながら自分の身体を横にズラして、代わりに枕をその下へ。


 スヤスヤ先輩は、まだスヤスヤ。


 ウチは、少し耳障りな程に鳴いている鳥の声が気になって、窓辺へ。


 カーテンを少し開けて、窓も開けると。


 すでに昇りきった太陽の熱気がむわっと入り込んで来ると同時に、鳥の声もさらに大きく聞こえて来る。


 窓の外を見てみると。


「え?」


 目が合った。


 鳥と?


 違う。


 ヒト。


 キレイな……女のヒト。


 目の合ったその人だけではなく、数人……女性が三人、男性が一人。


 別荘を囲っている植え込みの向こうの道路の脇で。


 それぞれ、巨大なカメラを乗せた三脚の前に立って。


 ウチが見た瞬間に、カメラを反対側へ向けたけど。


 明らかに、こちらにカメラを向けて何かを撮ってた?


 何を?


 まさか!?


 盗撮!?



 いや、二階のこの部屋だと角度的に、天井しか写らないだろう。


 それ以前に、カーテンも閉めてたしな。


 一階?


 この下って、リビングだよな……。


 母さんとシズさんがリビングでお酒を呑んでて、そのまま眠ったかな?


 でも、一階のリビングだと植え込みがあってそのままじゃ写せないか……?



 とも、あれ。


 ウチはシャツを羽織って、ショートパンツのまま。


 母さんとシズさんに報告するため、小走りに、リビングへと向かう。


 階段を降りると、リビングの奥のキッチンに母さんとシズさんが居た。


「母さん、シズさん」


 呼びかけながら近寄ると。


「あら、おはよう真綾まあや

「おはようございます、真綾さま」

「お、おはようございます」


 朝のご挨拶。ご丁寧。


 じゃ、なくて。


「外に、なんか、また、変なひとたちが」


 ふたりに状況を伝えると。

 

「わたくしが見てまいりますわ」

「四人居るんでしょ? シズさんひとりじゃ何かあったら……わたしも行きます」

「ウチも行くよ。こう見えて……いや、見てくれはともかく、男だし」


 三人で玄関へ向かおうとするが。


「母さん、さすがに包丁は置いてった方がいいと思うよ……」


「あらやだ、つい」


 つい、か?




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