第50話:ぱっつん子先輩の料理教室へ、ゴー
母さんと女物の洋服を買い出しに行った。
って、話を先輩方にしたら、絶対に『見せろ』と言われるだろうから。
黙っておこう。
週明けから数日。
基本的に、週いちの放課後の『八時間目』の授業。
もはや授業と呼んでいいのか微妙な具合になってきてたりするけど。
一応は、担当の先生もついての授業ってコトで。
あぁ、ちなみに全生徒対象の『七時間目』の方も、週いちで続けられていて。
こっちは、ちゃんとした教科書もあって、今は『スキンケア』について学んでいる。
さらに、ちなみに、この教科書に載っているスキンケア用品は、学校の購買で購入可能。
と、言うか、半強制的に?
どうも、『しの女』の運営母体の企業がそういった化粧品なんかを取り扱っているらしく、一般市場より安く買えるんだって。
逆に考えると、その商売の延長線上に『七時間目』を入れてると勘ぐることもできる。
それは、さておき、『八時間目』の方。
「次はわたくしの番ですわね」
開校一番。
じゃなくて、開口一番。
ぱっつん子先輩。
おさげ子先輩、金髪子先輩に続いて、との意味だろう事は間違いないだろう。
何を言い出すか、少しハラハラ。
「わたくしは、お料理を教えていただきたいですわね」
あー。
なんか、そんな話もあったっけなー。
ウチで手料理を振る舞った時。
ウチの味付けに感化されて、料理を習いたいって言ってたっけ。
「それは構わないですけど、何処でやります?」
「週末、また園田さんのお宅にお邪魔してもよろしいでしょうか?」
母さんも特に文句は言わないだろうけど、念のため、メッセージで確認。
すぐに返信が来て。
「構わないですよ。『是非、お越しください』って、母さんが」
「そうしましたら、土曜日の午後に……」
ぱっつん子先輩と、具体的な時間やらメニューを調整。
駅前で待ち合わせて、材料の買い出しの後、ウチで料理教室。
「そしたら、わたしたちは料理が出来上がる頃にお邪魔しましょうか」
え。
「だねー、サクラの手料理、楽しみー」
「そうですね、先生も一応、課外授業の一環と言う事で、きちんと評価致しましょう」
外野は外野でノリノリなんだけど。
先輩方、それに先生は料理覚えなくて大丈夫?
食べ専?
いや、なんか本当、当初の趣旨から大きく外れて来てる気もするから、ここは……。
「いっこ、提案があるんですけど、その日はウチ、男子の格好でいいです?」
え? なんで? どうして? ほわぁい?
口々に。
まぁ、この期に及んで感はあるだろうけど。
「本来は、先輩方が『男子に慣れる』のが、八時間目の目的だったハズですし」
「そうだっけ?」
「園田氏を女らしくするのが目的じゃないの?」
「はて、そう言えば」
「そうでした、ね……」
一応、先生は思い出してくれたみたいだけど。
先輩方は、もはや完全に。
「ってことで、そろそろ、女の格好のウチには慣れてくれたようなんで、男子のウチにも慣れてもらえれば」
幸い、校内ではなく、ウチの自宅であるならば。
「どうしましょう?」
「そういえば、完全な男子形態の園っちって見たこと無いね」
「最初の時は中途半端な女装だったけどねー」
「中身は同じなんですから、大丈夫なんじゃないですかしら?」
三先輩、プラス先生が固まってごにょごにょと、しばらく何やら作戦会議?
やがて。
「わかりました。その線で参りましょう」
料理教室のメイン、ぱっつん子先輩が答えを出して。
「ただし、問題あるようだったら、女装してあげてね」
てな訳で。
週末は、ぱっつん子先輩と。
ウチで料理教室。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます