第42話:金髪子先輩とゲーム


 金髪子先輩と、おうちでふたり。


 デート、とは、あまり言いたくない。


 みかけ的には、家とは言え高校の制服で女子ふたり。


 仲良く、遊ぶ、図。


 でっかいテレビで映画鑑賞を終えて、ひとしきり歓談した後。


「さって、次は何、しよっかー」


「んー、何かありますかね……」


 定番としては、ゲーム、とか?


「ゲームとか、ですかね?」


「だよねー、ゲームしよう、ゲーム」


 金髪子先輩が、テレビの下の方にあるラックからがさごそと何かを取り出して。


 取り出したモノと、タブレットを操作すると、画面にゲーム機の起動画面。


「はい、これ」


 ぽん、と、渡されたのは、ゲーム機のコントローラ。


 画面の方はと言うと。


「んー、これが入ってたかー。パパ好きだもんなぁ、これ。園っち、できる?」

 

 これ、ウチもやったことがあるレースゲームだな。


 アイテムを取ったり、投げたりするおちゃらけた家族用のパーティゲームでは、なく。


 めちゃリアルなマジの車のヤツ。


「あ、はい。大丈夫ですよ」


「んじゃー、競争、しよっかー」


 金髪子先輩が操作して、二人用プレイの画面へ。


「クルマは……お好みでいいかー」

「じゃあ、ウチはこのクルマで」


「お、渋いの選ぶねー。ウチも同じので……条件合わせてみよっか」

「いいですね」


 ウチらが選んだのは。


 上半分が、白。下半分が、黒で、今風のクルマではなく、大昔の、角ばった感じの、クルマ。


 普段はヘッドライトが閉じているヤツ。


「コースはどうする?」

「じゃあ、鈴鹿で」

「了解~。周回は……まずは三週ぐらいで小手調べ?」

「ですね」


 などなど。


 確認しながら、プレイ内容をセッティングして。


「んじゃ、スタートぉっ!」


 迫力のある大画面、それにサウンド。


 二人用プレイは初めて、ってこともあり、少々もたついたけど。


「ぉおっ、なかなかやるねー、園っち!」

「先輩こそっ!」


 お互い。


 身体までゆらゆら、左右に揺すりながら。


 さすがに少し離れているので、肩がぶつかったりすることはなく。


「んー、さすがですね先輩」

「いやー、園っちも、なかなかー」


「しかし……酔いますね、これ……」

「でしょー」


 画面が大きすぎて、リアル過ぎて。


 酔う。


 頭がくらんくらん、眼が回りそう。


「あはー、これはダメかー」

「ですねー」


「んー、こっちのなら、まだ良さげだけど……」


 がさごそ、と、また、金髪子先輩がテレビの下のラックをほじくってタブレットを操作すると。


 別のゲーム画面に切り替わる。


「あー、でも、これって……」

「うん。ふたりより、大人数でやった方が面白いよねぇ、これは」

「ですよねぇ……」


 今度のゲームはそれこそ、パーティゲーム。


 多人数でワイワイやるのがセオリーな、アニメ調のゲーム。


 と、なると、やはり。


「他の先輩方とか先生とか、呼びますか?」

「えー? 今からー?」

「はい、多分、すぐ来てもらえると思いますよ?」


 算段、あり。


「大里先輩、中原先輩、エリ先生、すぐ来てもらえますかー?」


 呼びかけて、みる。


「あはは。何? そこで呼んでも来る訳ないじゃん?」


 まあ、その通り、なのかもしれないけれど。


「今すぐ来てくれないと……小坂先輩にイタズラしちゃいますよー」


「何それっ!?」







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