第20話:不思議な夢をみたの



 朝。


 目が覚めて。


 ふと。


 思い浮かぶ、夢。


 おかしな夢を、みた。


 あたしが男の子で。


 女装をして自宅前の東雲女子に通う、って。


 そこで先輩や先生、それに母さんにまで。


 女らしく、と、色々と女性の事を教えられたり。


 教えてもらわなくても、知ってるって言うの。


 だって、女の子なんだもん。



「んふ。変な夢だったわね……」


 のっそりと起き上がり。


 パジャマ替わりのTシャツとショーパンを脱いで、下着姿に。


 ナイトブラを、降ろして、足から脱ぐ。


 ナイトブラとか、一部のホックなしブラは、足から着た方が、着用しやすい。


 何故かって?


 アンダーバストの方が一番狭くなってるのに、それを上から通すには大きな障害物があって、大変。


 下から上に、すくい上げるように被せれば、楽ちんなのです。


 脱ぐ時も、一緒。


 着けていたナイトブラを足から抜いて、その勢いで、ショーツも脱ぐ。


 ハラマキ替わりになるから、と、母さんから勧められた、履き込み丈のすごく深いやつ。


 おへそが隠れるくらいにまで、丈がある。


 大事なお腹を、冷やさないように、って。


 そんなごっついショーツも脱いで。


 ……こんなショーツを履いてる、とか、友達には知られたくないわよね。


 おばちゃんかっ! って言われそう。


 おばちゃんに謝れっ!


 ふぅ。


 そんな事を考えてる場合じゃ無い。


 今日着る下着にぱぱっとお着換え。


 学校指定の、白のショーツに白のブラジャー。


 ワンポイントのオレンジのリボンはギリ校則オッケー。


 ショーツの前とブラの前、それぞれ真ん中にちょこん、と。


 かわいい。


 さて。


 改めてショーパンとTシャツを着直して、一階の洗面所へ。


 となりにある洗濯機に、ネットに入れたショーツを突っ込んで。


 とりあえず、顔を洗って、歯を磨いたら、お風呂場でブラを手洗い。


 洗面器に水を入れて、少しだけ洗剤を垂らして混ぜ混ぜ。


 その中にブラをくぐらせてゆらゆらしながら、軽く押さえてから、水ですすいで、軽く絞ってそのままお風呂場に干す。


 そうそう、このハンガー。エックス・ハンガー。


 左右が真ん中からぱかっと開いて、英文字の『エックス』の形になる。


 ブラを広げた状態で干せるので、すごく便利。


 るんるん、と、鼻歌混じりに、モーニングルーティンをこなして。


 部屋へ戻って、制服に着替える。


 またショーパンとTシャツを脱いで。


 『しの女』の、可愛らしい、白地に濃紺のストライプの、セーラー服。


 襟の三角が、やたら長くて、腰位置まである特徴的なデザイン。


 母さんが通ってた頃から変わらず、だって。


 わたしも、自宅前で、大きなお姉さんがこの制服を着ているのを見て、憧れたのよねー。


 学校が近い、って言うのも大きいけど、この制服の存在もかなり大きい。


 偏差値がめっちゃ高くって、中学時代はかなり勉強がんばった!


 ほめてほめてっ。


 さて。


 身支度は出来たので、リビングへ。


「おはよう、母さん」


 朝の支度をしてくれている母さんに、朝の挨拶。


 母さんが料理の手を止めて、振りむいて。


「え?」


 不思議な、表情で。


「……あなた……誰?」


「え?」






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