第17話:膨らみの次は髪型ですわ
『女装男子ショップ
そのお店に先輩方三名とロリ先生、それに母ちゃんに連行されて、さらにフィッティングルームへと監禁されて、ブラとその中に収める
ブラを着けはじめて、まだ数週間。
最初の頃よりは違和感は薄らいだとは言え。
さらに、上げ底を入れたために。
「足元が少し見辛くなりますね……」
「あぁ、そうだね。これも慣れ、だけどね」
他にも色々と不便そうな。
ヒトによって『大きさ』はまちまちだろうけど。
大きなヒトは、結構大変なんだろうなぁ、と、実感。
「じゃあ、着替えたらレジの方に来てね」
さっさと着替えて、フィッティングルームから出ると。
あれ?
そう言えば。
店に居るはずの面々が、居なくなっている。
残っているのは、ぱっつん子先輩のみ。
「みんなどこ行った?」
「皆さん女性向けのショップの方に行かれましたわよ」
「え?」
「何やら『良いモノがある』と女性の店員さんが先導して行かれましたわ」
おぉい。
まぁ、オレで遊ばれるよりはいいか。
「それより、次はウィッグですわ、ウィッグ。髪も手当てしませんと!」
あぁ……なるほど。
ぱっつん子先輩はオレの髪型、髪の毛を『女性らしく』と主張してたっけな。
「わたくしのお薦めはここちのロングですが、貴方のお顔ならこちらのショートの方が似合うと思いますけど、どちらになさいますか?」
ぱっつん子先輩が両手に持った髪の毛を掲げて、問うてくる。
いやぁ、どっちも、なぁ……。
どっちかと言われたら、なぁ……。
ロングは重そうだし、邪魔そうだよね?
それでなくても上半身に余分なパーツが装着されてるのに、さらに?
「ショートで」
「ではこれも試してみましょう。店員さん、試着用のネットはございますか?」
ぱっつん子先輩がいきなり店員さんに話を振る。
ネット?
「ありますよ……はい、こちらで」
店員さんが何やら黒い小さなレースの布のようなものをぱっつん子先輩に渡す。
さらにそのレースの布のようなものを手でこねこねすると、輪っかのようになる。
「これをこうやって……はい、この状態で頭を入れて首まで降ろして下さいまし」
両手で輪っかを受け取ると、ゴムみたいに伸び縮みする。
頭から被って、すっぽりと首まで降ろすと。
首輪?
「そのままネットを広げながら髪を中に収めつつ頭の上の方まで移動して下さいな」
あぁ……そういうコトね。
髪の上に髪を乗せるから、下になる自分の髪をまとめるためにこのゴムみたいなのを被せる訳か。
理屈がわかれば。
ただの輪ゴムではなくて、網状になった筒なのね。
これを顔の上まで持ってきて、髪をくるん、と
「これでよい?」
「ええ、大丈夫そうですわね。では、次はこちらを」
ショートのウィッグを手渡される。
うわぁ、なんか、キモい……。
手触りも、なんか、さらっとしてるのに、ぬるっとした感じが。
地味に気持ち悪いな、これ……。
「被ればよい?」
「ええ」
どっちが前だ……こっちか。
かぽっ、と、帽子を被る様に、頭に乗せてみるけど。
「む? ちょっとぶかぶか?」
「内側にアジャスターが付いていますから、それで大きさを調整できますわ」
ふむ。
一度外して、言われた通りに内側を見てみると。
背面……後頭部側の左右に長さを調整できる部品が付いてる……これを小さくする方向にずらせばよいのね……。
やっぱりいろいろ面倒だよなぁ……。
何度か付け外しをして大きさを調整して。
姿見があったので、それで確認しながら。
「こんなもん?」
「ん……なかなか、良い、ですわね」
ぱっつん子先輩のお墨付き?
に、しても……。
「これが……オレ?」
髪型が変わって、上半身の膨らみが付いただけと言えば、それだけなのに。
ちょっと、びっくり。
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