第9話:知られざる校則


 『八時間目の特別授業』


 男子に慣れない二年生の先輩女子三名。


 と、担当の幼顔で幼声のロリ先生。


 家バレ直後、先輩女子のひとり、おさげ子先輩がオレを指さして。


「足!」


 足がどうかしたか?


 と、思って下半身を見てみる。


 あ。


「スカートでそんなに足を広げるんじゃありません! み、み、見えてるしっ!」


 あぁっ!


 ささっと足を閉じてスカートを押さえるが。


「しかも、な、な、なんで、なんで女物の下着履いてるのよっ!」


 うぁあ、もろ見られたかっ。


 うぅ。おさげ子先輩も顔赤くなってるけど、自分の顔も赤くなってるのが解る……。


 女子の気持がちょっと解かった気がしなくもない。


 やっぱり、こんなスカートとか、よく履いてるよなぁ……。


 この制服を着る上で、母ちゃんからも注意するようには言われてたけどなぁ。


 意識していないと、どうしても男子としてのクセが出てしまう。


 ただ、下着に関しては。


「校則で決められてるから仕方なくだよ。誰が好き好んで履くかっ!」


「え?」

「え? 校則?」

「そんな校則、あったっけ?」


 おぃっ!


 金髪子先輩、ぱっつん子先輩、そしておさげ子先輩。


「えーと……校則、校則、校則……あった」


 ロリ先生が手元のタブレットを操作して確認している。


「えーと、服装、服装……あった」


 まぁ、オレはプリントしたでっかいので読んだし。


 そのせいでこんな状況になってる訳だし。


「えーと、『下着は白または淡い色の単純なショーツとブラジャー、キャミソール等のインナーを着用する事』だって」


「へー」

「へー、そうなんだ……」

「知らなかった……」


 おいぃいいいいぃつ!


 どういう事だよ!


「先輩たちもだけど、先生も知らなかったのかよっ!?」


「うん、知らなかったね」

 おさげ子先輩……いちばん真面目でこういった校則に一番うるさそうな感じもしたけど、そうでも無いのか?

 

「チェックされたりとかも無いですわね」

 ぱっつん子先輩はマイペースか。


「まあ、夏服とかで極端に派手なのが透けてたら注意はするかな?」

 ロリ先生は、一応先生してるか。


「だよねー。ちなみに今日はウチは黄色~。サクラはレースのむら……いひゃいいひゃいひゃめへーひゃくりゃー」

「だーっ! また貴女はっ!」

 金髪子先輩、また何か言いかけてぱっつん子先輩に両の頬をつねられてらっしゃる。


 ってゆーか、なんで金髪子先輩がぱっつん子先輩の下着を……あぁ、体育の着替えとかで見たのかな?


 しかし。


「てことは、この校則って、有名無実?」


「……かも?」


 かも、じゃ、ねぇえええええっ!



 だったら、制服もなんとかなるんじゃね?


 どうしてくれよう、この事実。


 校長? 理事長? そこらへんにねじ込むにしても……母ちゃんからの方がいいよな……帰ったら母ちゃんに相談しよう。


 ひとりで突撃するには分が悪すぎる。


 しまった。


 今の会話、録音しときやよかったか?


 まぁいいか。


「え? って事は」


 おさげ子先輩がまた何かに気付いたらしい。


「ブラも着けてるって……コト?」


 ハイ。


 ばっちり、着けてます……悲しいケド。





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