第7話:金髪子先輩が何かを言う



「トイレもだけど……着替え……体操服の着替えはどうしてるの?」


 トイレのくだりの後。


 今度は右端のおさげ子先輩がぼそりと。


 あぁ、まあ、それも気になるトコロだろうね。


「それもトイレで済ましてるよ。来客用の男子トイレはほぼオレ専用みたいなもんだからな」


 来客で男性が来て、さらにトイレを使う頻度なんてほぼ無いしね。


「専用……って事は、何でもできちゃうね……もしかしてお弁当食べたりとか? あぁ、そうだ、それこそオn……」


 真ん中のちっこい金髪子先輩がクチを開いて何か喋ったかと思うと。


 左右から手が伸びて、そのクチを塞ぐと同時に。


「わーわーわー」

「ちょ、何言い出すのよアンタはっ!」


 何を言いかけたのか、金髪子先輩。


 おさげ子先輩とぱっつん子先輩は金髪子先輩が何を言おうとしたのか気付いてそれを止めた?


「んー! んー! んー!」


 いや、苦しそうですよ? 金髪子先輩……。


「んぷはぁっ! もぉっ! 何するのよぉ!」

「アンタがおかしな事言い出すからでしょ!」

「まったく、貴女は、もぉっ!」


 今度はぱっつん子先輩が金髪子先輩の頬をつねって引っ張ってる。


「いひゃい! いひゃい! ひゃめへー! ひゃくりゃー!」

「いいですか? 変なコト、言い出さないで下さいまし?」

「ひゃい、ひゃい、ふぁはっはふぁはぁ~」


 やっと指を離すぱっつん子先輩。


 やっぱりお嬢様風味ながら、お嬢様ではなさそうな気配?


 落ち着いたところで、さっきの金髪子先輩の問いに、一応、答えておこう。


「ちなみに、弁当と言うか昼メシは家で食ってる」


「え?」

「え?」

「いえ?」

「いえぇ?」


 ロリ先生も含めて、先輩方も、キョトン。


 まぁ、そらそうか……。


「学校の真ん前が自宅なんで、家帰って食った方が早いもんでね」


「えー!?」

「ぇー!?」

「ほぇー!?」

「なんと!?」


 まぁ、そら、驚くわな。


「あれ? 先生、聞いてない?」


 ロリ先生まで驚いているのは、ちょっと不思議。


 教職員には通達されてると思ったんだけど。


「ちょっとオレだけ特例で休憩時間に帰宅してもいいって」


 本来の校則なら、始業から終業までは校外に出ちゃだめってなってるんだけどね。


 男子がオレひとりだけなのと、自宅が真ん前ってコトで。


 トイレの件や着替えの件も含めて、他の女子生徒に迷惑がかかりそうな部分は自宅に戻って済ませてもいいって。


 まぁ、休み時間に限る、だけど。


 ただ、実際には来客用の男子トイレの方が、僅かに近いので、長い昼休み以外の休み時間はトイレの方で済ませる。


 昼休みの昼食はこの特例を使わせてもらって自宅で。


 あったかいご飯もだけど、カップラーメンとかも食べられるのでちょっとお得。


「あ……そういえば、朝礼で何か言われた気もしなくはないかも?」


 おい、ロリ先生……。


「何それ、何それ? どういう事?」


 そして、金髪子先輩が。


 前のめりで、食いついて来た。




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