第4話:放課後は五秒で帰宅したいのに
『八時間目の特別カリキュラム』
とやらの、訳の分からない教室に呼び出された、今は普通なら放課後。
それ以前に。
入学式からのクラスでの自己紹介、オリエンテーションを経て、通常授業へ至るまでの数日。
最初にも言った気がするが、針のムシロ状態。
『ひとりだけオトコが居る……』
『しかも、女装してる……』
女子たちも共学化の事は承知の上で受験して入学している筈ではあるが。
まさか、男子がひとりだけとは思いもよらなかったんだろう。
いや、それはオレもなんだけどね。
おかげさまで、ハレモノに触るかのように。
いや、触られはしないんだけど。
それ以前に、近寄っても来ないんだけど。
逆ならいざしらず。
不気味な男子に声をかけようと思ったりする
まぁ、女子とどうやって話せばいいかとか、こっちもよく解らんところもあるし。
放っておいてもらえるなら、それはそれで。
とか、思って真面目に授業を受けて、授業が終わったら速攻帰宅。
五秒で帰宅。
できると思ってたんだが。
呼び出された訳ですね。
『八時間目の特別カリキュラム』
と、やらに。
教壇に立つ若い女性教師は、そのまま『しの女』の制服を着れば高校生として充分に溶け込めるような童顔で華奢で小柄。
その教師の前に座る……しかも、教師の側ではなく、オレの方、つまり後ろを向いて座っている女子生徒三名。
黒髪ぱっつんロングの少し座高の高い子。
金髪ショートで眼も青い、めっちゃ小柄な子。
黒髪でロングっぽいが、おさげを両肩に垂らしたメガネの子。
ぱっつん子、金髪子、おさげ子、の、三名の女子生徒。
「実はここに居る三人の女子は……」
童顔教師の説明が始まる。
その説明によると。
この三人は小学校から高校まで、ずっと女子校に通っている、と。
『しの女』も去年までは完全な女子校だったから、確かに。
本来なら、今年から共学になったこの学校で『オトコに慣れる』練習ができるようになる、ハズ、だったのが。
オトコがオレひとりってコトで。
「……と、言う訳で、協力してもらいます」
えー……なんかめっちゃ面倒くさそうなんだけど?
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